東証一部企業の3割で初任給引き上げ

2007年05月04日 12:00

民間調査機関の【労務行政研究所】は4月20日、2007年における4月入社者の初任給の調査結果の速報値を発表した(【発表リリース、PDF】)。それによると、東証一部上場企業のうち初任給を据え置いた企業は70.5%、その一方引き上げた企業は29.5%にのぼることが明らかになった。引き下げた会社はなかった。

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初任給据え置き率の推移<
初任給据え置き率の推移

今回の調査は東証一部上場企業を中心に1756社に対して3月下旬から4月6日まで電話調査と調査票の郵送によって行われ、そのうち回答のあった217社についての速報値となる。

初任給を引き上げた企業が29.5%という値は、前年度と比べると9.3ポイント上昇している。これまで過去4年間「初任給は据え置き」という企業が9割を超していたが、5年目の2006年にしてようやく79.8%にまで減り、今年の70.5%というさらなる減少傾向を見せている。

2007年の初任給の水準は大学卒が20万2410円、短大卒が17万1383円、高卒が16万1139円となっている。また、製造業の初任給据え置き比率が61.5%なのに対し、非製造業が83.9%にも及んでいることから、

・「売り手市場再来」「超売り手市場」という新卒採用の活性化で、待遇改善が進んでいる
・特に成り手が少ない製造業で初任給の引き上げによる求人活動が活発に


という状況が推測できる。

今回の調査結果だけでは「単に財務的に余裕が出てきたから初任給を上げよう」「お財布の中身が不安なのは今までどおりだが、初任給を上げないと成り手がいなくなる」など企業ごとの内情まで推し量ることはできない。またこの値はあくまでも「新卒者の」初任給であり、アルバイトやパート、契約社員などには該当せず、雇用状態全体の状況を表しているとも言いがたい。

とはいえ、初任給の額や上昇率は雇用状況や景気を図るモノサシの一つであることに変わりはない。その値が改善の兆しを見せていることは、よい傾向といえるだろう。

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