東京23区では来年から廃プラスチックが可燃ごみになります

2007年05月15日 12:30

ごみ集積場イメージ東京都内の各区がごみ清掃事業を共同処理するために設けられた特別地方公共団体の【東京二十三区清掃一部事務組合】では2008年度から、これまで不燃ごみ扱いをして埋め立てなどに使用してきた廃プラスチックについて、可燃ごみに切り替えることを明らかにした(【発表リリース】)。

スポンサードリンク

これは同団体が【サーマルリサイクル】と称するプロジェクトで行っているもの。廃プラを燃焼してエネルギーに変換し、そのエネルギーを回収することを主目的としている。また、従来埋め立てに用いていた廃プラを燃やすことで、埋立地の「節約」にも役立つ。

プラスチックの燃焼については有害物質であるダイオキシンが発生する可能性が指摘されているが、【サーマルリサイクルの影響と効果】にもあるように、23区内では(ダイオキシンが発生しない高温の)850度以上の燃焼温度を維持できる高性能の焼却炉を用意し、さらに重金属を取り除いたり、ろ過式の集じん器を用いるなどさまざまな手法を用いて公害対策を徹底。

廃プラを燃やすことで温室効果ガスは増えるが、その分埋立地で発生するメタンガスや、得られるエネルギーを用いることで節約できる電力分の温室効果抑制を計算すると、東京都で発生する温室効果ガスの0.01%ほどしか増加しないという結果(つまりほとんど影響なし)が導き出されている。

何より効果が大きいのは埋め立て処分をしている一般廃棄物の削減効果で、体積比にして約6割の削減が見込まれるという。体積が減れば、埋立地が長持ちし、また、経費的にも得られたエネルギーで発電をし、余った分は電力会社などに売却して工場運営のコスト削減も期待できるとのこと。さらに輸送効率も向上するので各種経費も削減可能となる。試算では年間約52億円の節約が見込めるとのこと。

サーマルリサイクル・プロジェクトについてはすでに2006年の段階で4区で試験的に導入され、今年は対象区を拡大。来年に全23区で実施する。なお対象となるのは廃プラスチック以外にゴムや皮革類など。

特に廃プラは日常生活にあふれている(お弁当の容器、お菓子のケース、商品のラップやケース、ビデオテープカセット、CDケースなど)。これらの廃プラが燃えるごみとして廃棄され、有効活用されるのは非常におもむきのある話といえよう。これも東京23区だから出来たのかもしれないが、可能な自治体があれば今件をお手本に導入を検討してほしいものだ。

ただ一つ気になるのは、ごみの分別に混乱が生じないかということ。これまで「プラスチックは燃えないごみ!」としていたのに、「来年からは燃えるごみ」といわれて、すぐに対応できるだろうか。よりいっそうの啓蒙活動が必要になるだろう。

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ