「一番疲れているのは20代」「良い環境は疲れを減らす?」・連合総研発表

2007年05月15日 08:00

疲労イメージ【連合総合生活開発研究所】は4月27日、首都圏・関西圏在住の労働者に行ったアンケート結果を発表した。それによると会社員の中では20代が一番疲労感を感じていることが明らかになった。また労働環境が良いと疲れが軽減される傾向にあることも明らかになった(【発表リリース、PDF】)。

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今調査は首都圏在住の582名・関西圏318名の20代から50代の民間企業雇用者に対して郵送方式で行い、738名からの回答が得られた。調査項目は多種に及び、最低賃金や景気判断など興味深い項目が多く見られるが、今回は疲労に対する考え方についてスポットライトをあててみる。

年齢層別にみた(本人の認識による)疲労の蓄積度の違い調査では、意外にも20代がもっとも多く、40代がそれに続くことが明らかになった。なお「高疲労」「低疲労」は疲れを自覚する症状13項目について回答してもらい、その内容から判断されている。

疲労の蓄積度の違い(%)
疲労の蓄積度の違い(%)

従来体力そのものがおう盛で疲労の蓄積が低いはずの20代に「高疲労を感じている」と回答する人が多いことは「ルーキーがしごかれている」「リストラのしわ寄せが若年層にきている」「単に忍耐力が足りない」のいずれか、あるいは複数が原因であると思われる。また中堅サラリーマンの年齢層である40代にも高疲労の割合が多いのは、やはり「板ばさみ」状況にあることと、リストラによる人員不足の影響が一番立場だからだろうか。

次に働き方と疲労度の感じ方について関係を調べたところ、労働時間が週60時間以上とタイトなスケジュールのもとに働かされていた人は、多くの高疲労を感じていることが分かった。当然といえば当然だが。

疲労の蓄積度の違い
疲労の蓄積度の違い
疲労軽減は
良い環境下で成し得、
良い業務成績を生み出す

また、成果主義などによる賃金や処遇の格差が拡大している職場でも疲れを感じる人が多いことが分かる。成果主義は短期的には業績や効率を向上させるが、バランスを考慮しないで導入すると中長期的には利己主義的な考えに走り(例えば「新人教育をするより自分の営業周りをした方が評価される」として新入社員への指導を怠り、新しい人材が育たなくなる)、あるいは今回のように疲労感が増し、結局マイナス面が多い場合もあることが語られるようになった。今回の調査からもその一端が見て取れる。

一方で、「仕事量に自分の意向を反映できる」「仕事をマイペースでできる」「職場の人間関係が良い」など環境の整備がしっかりしている仕事場では、疲労度が軽減される可能性がデータから推測される。仕事をするのは感情を持った人間であって単なる機械でないことを考えると、これもまた当然の結果といえるだろう。

疲労度ややる気の高低は業務成績や仕事量と比べると数字化しにくく、また他人からは分かりにくいため、軽視される傾向にある。効果が見えにくく関連性も説明しにくいため、予算も人員も割かれることはあまりない。しかし結局のところ「企業力」は「人間力」によって創られる以上、企業を構成する最重要の要素である人間へのケアを大切にしなければならないのは自明の理であろう。

「派遣社員を使えばよい」「イヤなら辞めてOK。働き手などいくらでも集めることが出来る」という考え方も無くはない。要は労働力の使い捨てだ。しかしそれがどのような結果をもたらすのかは、多くの企業が今痛いほど実感しているはずである。


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