2008年末には『セカンドライフ』の加入者総数は最大で2億4600万人、取引額は1兆2500億円に・みずほコーポレート銀行産業調査部発表

2007年05月29日 08:00

『セカンドライフ』イメージみずほコーポレート銀行の産業調査部は5月24日、多人数同時参加型ネッワークコミュニケーションツール【セカンドライフ(Second Life)】に関する調査レポートを発表した。それによると『セカンドライフ』の成長性が今後も持続すると仮定した場合、2008年末には登録者数が2億4600万人、仮想通貨取引額は年間1兆2500億円にのぼるとしている(【発表リリース、PDF】)。

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レポートでは2007年4月末段階で登録アバター(ゲーム内におけるプレイヤーの分身となるキャラクタ)数が597万人に達していることや、2007年2月の段階で月間29億円(年換算で350億円)の仮想通貨取引が行われていることを述べた上で、このまま成長率が持続すれば2008年末には登録アバター数は2億4600万人、仮想通貨取引額は1兆2500億円(年間)に達すると推定している。

通貨

コンテンツ
レポートによる、『セカンドライフ』とこれまでのネットワークゲームにおける通貨やコンテンツの取り扱い方の違い。この違いが『セカンドライフ』を『セカンドライフ』足らしめる最大のポイントである。

また、『セカンドライフ』における経済圏の規模が1兆2500億円に達することで、GDP比で概算すると現実の世界各国の経済においては国別ランキングと比較して100位以内に入る(ガーナとアゼルバイジャンの間)とし、ゲーム内における仮想社会での経済行為が、一国の現存する国家のそれを凌駕しつつある現状を説明している。

レポートでは他に、ホテルや商品などのビジネス面での展開や、ロイター通信などのメディア活動、アメリカがん協会などの慈善活動の可能性、政治活動での活用など多方面における仮想現実社会の場としての可能性を指し示し、その有益性などをアピールしている。

一方、操作性の問題や英語圏以外の利用のしにくさをはじめ、次のような問題点も指摘している。

■利用上のハードル
・操作性
・英語圏以外の言語への対応
・パソコンの要求スペックが高い
・インフラが不十分

■経済活動上の問題
・データ損失時に責任は持たないとのルール
・マネーロンダリング
・貨幣交換所の運営実態が非公開、不透明性
・外為法上の問題

■その他の問題
・著作権上の問題
・非合法的、非倫理的な表現や行動など
・公共性が増した時、その中核を民間企業が掌握していることへの問題


これらの問題を提起しつつも、『セカンドライフ』は近年のネット上の各種サービスやニーズなどに応えうる要素を多数備えていると結論付けている。そして今後類似サービスを刺激する意味合いも含め、ネット上の仮想世界・仮想現実の可能性を見せるだけでなく、その一部を現実のものとしてくれるのではないかと推測している。

今レポートはかなりボリュームがあることや、経済的な分野に重点が置かれていること、マイナス面における具体例にやや欠けるところがあるものの、『セカンドライフ』の現状を把握するには非常に良い資料としてまとまっている。具体例も画像付きで多数表記されていて、多少のネットワークゲームに関する知識があるのなら、「『セカンドライフ』って何だろう?」という疑問を解消することができるだろう。

まだ『セカンドライフ』について詳しい知識を持っておらず、「日本語版の正式運用を前に少しはかじっておきたいな」と考えている人、「会社で調査するように言われたのだけど、どれを調べればいいのか」と頭を抱えている人には、ぜひ一読してほしい。

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