【更新】漫画や雑誌、デジタル立ち読みコーナー続々スタート

2007年04月22日 19:30

書籍イメージ先に【双葉社がサイトリニューアル・大規模な「デジタル立ち読み」コーナー展開】などで「デジタル立ち読み」のコーナーが相次いで立ち上がっていることをお伝えした。紙媒体の雑誌や漫画を出している出版社にしてみれば、「ネット上で試し読みして興味を持ってもらい、新刊や単行本を注文してくれれば大万歳」という計算だ。年度も代わり4月に入り、複数の雑誌社やサイトで「デジタル立ち読み」が始まったようなので、ここでまとめておくことにする。

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「Web漫画アクション」はタダ読み1000ページ・日本最大級を自称

隔週刊誌「漫画アクション」のWeb版こと【Web漫画アクション】では「タダ読み1000ページ」をうたい、連載中の全漫画の第一話をすべて無料で公開している。さらに「初回限定」ながら前号の掲載作品を一挙に公開、描き下ろし漫画の公開、日替わり四コマ漫画まで含めてすべて無料。


「Web漫画アクション」トップページ。ボリューム感がひしひしと伝わってくる。

掲載されている漫画を読むには専用のプラグインフリービューアーあるいはPDFが必要。実際に目を通し、読み足りない、続きが読みたい、以前の作品が読みたいと思ったら、併記されている通販サイトへのリンクをたどって関連書籍を注文できる仕組みになっている。

漫画アクションは元々双葉社の雑誌で、双葉社自身も【双葉社がサイトリニューアル・大規模な「デジタル立ち読み」コーナー展開】にあるように大規模なデジタル立ち読みコーナーを開設しているが、今回オープンしたサイトはそれとはまた別のもの。読者が多少混乱してしまうかもしれない。

「コミックチャージ」は連載漫画の一部をダイジェスト的に

先日大規模な広告展開と共に創刊された、こちらも隔週刊の青年誌[コミックチャージ](角川書店)では、連載漫画の一部をデジタル立ち読みすることができる。また、「鉄のほそ道」は丸ごと一話を閲覧可能。


連載漫画一覧。立ち読みが可能な漫画は「デジタル立ち読み」へのリンクボタンが用意されている。

「デジタル立ち読み」には専用のフラッシュビューワーを用いる。最初にすべてのデータを読み込むために起動には少々時間がかかるが、スタートすれば本物の紙同様にぺらぺらとスムースにめくることができるのが心地よい。

コミックチャージは創刊時に主要連載漫画のダイジェスト(1~数ページ)が掲載されている小冊子を配るなどしてアピールに努めていた。今回見た限りでは「デジタル立ち読み」が出来る漫画のほとんどが、その小冊子の域を出ていない気がする。

元々の連載ページ数が少ないのかもしれないし、「試し読みならこれで十分」という判断かもしれないが、4ページ(見開き2ページ×2)でオシマイというものもあり、腰砕け感がぬぐえなかった。また、立ち読みそのものが出来ない漫画も多く、「まだまだこれから。今後に期待」という雰囲気が強い。

「YOL magabon」はコンビニの雑誌コーナーな雰囲気

上記2サイトが各雑誌独自の「デジタル立ち読み」サイトだったのに対し、この[YOL magabon]は読売新聞社のオンライン部局が運営している、定期発刊誌の統括立ち読みサイト。元々【立ち読み総合サイトmagabon】と読売オンラインが提携し、読売オンライン内にコーナーが作られた形となっている。

男性・女性誌、カルチャー、ライフスタイル誌など、コンビニの雑誌コーナーの棚に納められていそうな雑誌ばかりを集め、それぞれの最新号の確認や「ちょい読み」をすることができる。


YOL magabon。雑誌が盛りだくさん。

「ちょい読み」には専用のフラッシュビューアーを使う。ページをめくるたびに新しいページを読み込むので少々時間がかかるが、一度ページを読み込めば逆戻りしてもすぐに表示ができるようになる。

男性誌よりも女性誌を上に表示しているあたり、ターゲットが「コンビニでファッション誌などの雑誌を買い求めるOLや主婦などの女性」であることを想像させられる。

「YOL magabon」が便利なのは、バックナンバー機能があるところ。一部冊子では穴あき状態のものも見受けられたが、多くの雑誌でバックナンバーのデータと詳細、さらには「ちょい読み」まで出来るようになっている。


最新号の説明の下にはバックナンバーの一覧も。クリックするとその号の詳細が表示される。

また、事前登録しておけば、その雑誌の発売日前日にお知らせするメールが届く仕組み「先取りメール」も用意されている。スケジューラーに登録するまでのものでもないが、買い逃したくはないなという雑誌があれば、ここで登録しておくのが良いだろう。


今回紹介した3サイトのうち、「コミックチャージ」以外は楽天市場やアマゾンなど、主要通販サイトで関連する書籍や単行本をすぐに注文できる仕組みも用意されていた。「気軽に立ち読みできて、気になったら気が削げないうちにその場で注文する」という、雑誌社からすればベストな「お客の誘導」といえるだろう。

また、一般の書店で書籍が売れなくなっている最大の原因として挙げられる「ウェブ上で本を注文する人が増えている」ことと、「デジタルコミックが読みたい」「ウェブ上で立ち読みしたい」というニーズを融合させ、書籍購入の機会を増やして売り上げアップを図るのは、やり方としては正しい方法といえる。

書店やコンビニで「立ち読みして『面白い』『興味がある』から手にとってその場でレジへ」というパターンより「デジタル立ち読みして『面白い』『興味がある』からその場で注文する」方が、購入に移行する確率はかなり低いと思われる(前者がすぐその場で全部読めるのに、後者は届くまで時間がかかるからだ)。

その一方で「デジタル立ち読み→注文」の最大の利点は、パソコン上(そして将来は恐らく携帯電話上)で完結してしまうことにある。わざわざ店までいかなくとも良いし、いつでもすぐに読むことができる。さらに、店に在庫が無い雑誌や書籍でも、サイトがサーバーダウンしていない限りはフルタイムで閲覧可能。

「デジタル立ち読み」から購入につながる流れがどれくらいの数なのか、どの出版社も公開していないので、その成果は不明。とはいえ、既存書店の売り上げが今後上昇する雰囲気が見られない以上、各出版社は「ウェブ上で本を注文する人」たちの関心を集め、自社の本を買ってもらうための努力は続けなければならない。

このような状況から、「デジタル立ち読み」は今後増えるだろうし、「YOL magabon」やアマゾンの「なか見!検索」のようにポータルサイトなどが複数社の雑誌の「デジタル立ち読み」「試し読み」を行うサービスも増加することが容易に推定できる。

望むべくは(定額制の利用を前提とした)携帯電話向けのサービスの充実と、ビューワーの統一だろうか。両方ともニーズは大きいだけに、各会社には努力してほしいところだ。


(最終更新:2013/08/21)

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