「東証を総合取引所に」政府方針と日経報じる

2007年04月16日 12:30

株式イメージ政府が日本の金融・資本市場の競争力強化を狙い、取引所の再編による統合取引所の創設を推し進める方針を固めている。【日経新聞】が報じた。証券、金融先物、工業品、農産物など別々の取引所の仕組みを見直し、すべてを網羅する「総合取引所」を来年秋に持ち株会社に移行する【東京証券取引所】の下に統合するよううながす。

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記事によると今回持ち上がった「統合取引所」構想は政府の諮問会議【グローバル化改革専門調査会】の作業部会でまとめたもので、このグループには東証の新社長に内定している斉藤惇氏などが加わっている。4月17日に開かれる経済財政諮問会議で議論した上で、6月には基本方針としてまとめ、2008年度中には実現させたい考え。

具体的には2008年秋にも持ち株会社化する東証の傘下に、現在予定されている東証の下部会社以外に、【東京工業品取引所】【東京穀物商品取引所】【東京金融先物取引所】をおさめさせる。それと同時に2008年春をめどに政令などを見直すとともに金融商品取引法、商品取引所法も改正。これらの商品取引所の枠組みを超えた商品設計ができるようにする。

東証は今のところ2009年に上場する予定だが、相次ぐシステムの不具合を受けて現在はこの目標値について半ば棚上げされた状態。その一方、いつでも上場できるよう、2008年の持ち株会社化への移行をはじめ、統制組織の整備、世界の有力他証券取引所との提携など、積極的な動きを見せている。

一方、証券取引所自身の規模としては、東証は取り扱っている企業の総計時価総額としてはニューヨーク証券取引所の15.92兆ドルに続き4.89兆ドルと世界第二位(日経新聞調べ)。ところが今のままでは東証が上場した場合、東証自身の時価総額はニューヨーク証券取引所やドイツ証券取引所の1兆円にも満たない試算がされている。

そこで政府と東証としては、東証を単なる一取引所としてではなく、日本を代表する取引所と位置づける考えのようだ。つまりさまざまな金融商品の他取引所と融合させて「総合取引所」とし、商品レパートリーも規模も世界のライバルに肩を並べられるものとすることを考えている。

金融商品の多様化、たとえば農作物の商品先物とその農作物を取り扱う商社証券を組み合わせた「グローバル農作物ETF」のような新しい金融商品の構築や、REITの指数先物など、選択肢が増えることは投資家の立場としてもプラスになるのは間違いない。また、将来的には電力や二酸化炭素排出権なども取り扱う構想があるとも今記事では伝えており、多種多様な投資スタイルの体験が期待できる。

「早ければ2008年度中に」という表記から、政府が本気なら動きはそう遠くないうちに見られることだろう。その一方で、傘下に収まる側の各取引所や、慎重と伝えられている【農林水産省】【経済産業省】などの関連官公庁、そして【大阪証券取引所】をはじめとする東証以外の証券取引所の動向も気になるところだ。

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