近赤外線で光合成を行う新しいバクテリアを京大教授らが発見・地球温暖化問題に一石

2007年04月10日 19:30

アカリオクロリス(Acaryochloris)イメージ京都大学の三室守地球環境学堂・人間・環境学研究科教授らの研究グループは4月10日、近赤外線を使って海洋のバクテリアが水を分解する光合成の仕組みを解明したと発表した(【発表リリース】)。

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見えない光で光合成を行う珍しい葉緑素

今回発表の対象となったのは、夏の湖などによく発生するアオコの構成要素でもある、単細胞生物シアノバクテリア(らん藻)のアカリオクロリス(Acaryochloris)属。通常、光合成を行うために必要な色素(葉緑素、クロロフィル)はaからdまでの4タイプ存在し、そのうちaだけが光合成を行うとされていた。しかし研究グループでは可視光線より波長が長く光としての性質も持っている「可視光線より便利な見えない光」として赤外線カメラをはじめとした映像装置に使われている近赤外線をクロロフィルdが吸収し、光合成が行われ酸素が発生することを突き止めた。

しかもこのクロロフィルdにおける光合成は可視光線を用いた通常の光合成による酸素発生プロセスと比べ、小さいエネルギーで酸素を生み出すことができるのだという。この特殊な光合成を行う葉緑素、クロロフィルdを持っているのは、今のところ同研究グループが確認したシアノバクテリア・アカリオクロリスのみ。

今回特殊な光合成が確認されたシアノバクテリア・アカリオクロリスはレポートによれば亜熱帯域から南極までいたるところで発見されており、日本でも見つけ出すことが出来、生育域の広いシアノバクテリアと推測されている。

地球温暖化と二酸化炭素問題に一石を投じることになるかも

そして今回の発見は、葉緑素による光合成の仕組み解明の研究に新たな一歩を踏み出させるだけでなく、昨今問題視されている二酸化炭素問題にあらたな物議をかもさせる可能性がある。なぜなら「これまで発見されていなかった効率の良い光合成の仕組みを持つ、世界中にありふれているらん藻」が発見されたことにより、これまでの「地球上における二酸化炭素を分解し酸素にかえる植物の生産性や炭素の循環の算定」に、大きく影響を与えうるからである。

要は「二酸化炭素増加状態ヤバイよ、計算したら増加を続けて地球の緑の光合成じゃ間に合わないよ、地球温暖化しちゃうよ」としていた論理における計算を、大規模にやり直す必要が生じたのかもしれない、ということ。

とはいえ、計算式の中身が色々変わっても、二酸化炭素の増加による温暖化現象に早急に対処しなければならないことに変わりはない。むしろ今回発見されたクロロフィルdによる「可視光線より効率のよい光合成」の仕組みを解き明かし、光合成をより積極的に行わせるような物品の開発(例えば生体建材など)に活かすことを試みるべきだろう。

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