がん治療に期待をかけるETF「HealthShares Cancer ETF」とは

2007年04月08日 11:00

医療イメージかつて日経平均が8000円台をうろちょろしていた際に竹中元財務大臣が「ETFを買っておけば必ず儲かりますよ」と発言し物議をかもしたことから、世間一般にも広く知られることになったETF。Exchange Traded Fundの略で、取引所で取引できる投資信託のことを指すのだが、要は「一定のルールに基づいて株式などの有価証券をパッケージ買いしたセット」のようなもの。その「一定のルール」に特徴と魅力を持たせるのが、投資信託販売会社の腕の見せ所なわけだが、海外に少々気になるETFがあったのでここで紹介する。その名前は「HealthShares Cancer ETF」。直訳すれば「がん治療セクターETF」というところだろうか。

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【ヤフーファイナンス(アメリカ)のチャートはこちら】。チャートを見ればお分かりの通り、出来立てほやほやのETFだ。このETFの特徴は(【詳細説明ページ、英語】)によれば、「がん治療に関連する健康管理、科学技術、バイオ企業に関する企業」を選んでパッケージしているという。このETFに採用されている企業は、「がん治療に従事する会社」とし、がん治療のための治療薬の研究や臨床実験の実施、さらには商業化に従事していることになる。

具体的な選択企業とその持ち株比率は【こちらに掲載されている】。記事執筆時にもっとも高い比率9.43%を占めている【Onyx Pharmaceuticals社】社はズバリがん治療薬の開発を行う会社。以下【IMCLONE SYSTEMS】もがん治療薬開発会社、【REGENERON PHARMACEUTICALS】はがん治療薬をはじめとする各種バイオ製薬会社。

がん治療ETFイメージ投資家はこのETFを購入すれば、これらがん対策を進めている企業に資金をめぐらし、支援を行うことになる。もちろん直接第三者割当増資や寄付をするわけではないので、あくまでも間接的な支援に過ぎない。直接株式を購入するよりもワンクッションおいているので、「支援をしている」という感覚そのもの薄いかもしれない。しかし自分で調べる必要はなく、気軽に「がん治療への支援」を行うことはできる。もし直接「企業の一員として積極的に支援したい」というのなら、上記の組み合わせ表を元に、それらの企業の株式を購入すればよい。商法的に「会社構成員」になれる。

がん治療に専念している、あるいは関係する企業に資金がめぐり、金回りがよくなれば、少なくとも資金が不足している状況よりはがん治療の見通しが立ち、技術が進歩し、治療技術の確立がなされる可能性が高まる。そうすれば投資家自身の寿命も延びる可能性が高まり、資産形成を行う機会も増える。もちろんETFに組み込まれた企業の株価は期待通りの成果を上げたとして上昇し、ETFを購入した投資家の資産も増える。

もし技術が確立されず、がん治療の状況が進捗しなければ、当然ETFに組み込まれた企業たちの株価は伸び悩む。しかしETFを購入した投資家自身もがんを患って資産そのものを使えない状況(つまり昇天する)になる可能性もそれだけ増えるので、ETFの評価が下がってもそれほど気にしなくてもよい、ということになる(多少無茶な気もするが)。

非常に巧みな、というかよく考えられた理屈のETFであり、はじめてこのETFの存在を知った時にはさすがに当方も唖然としてしまった。似たようなコンセプトのETFモドキである「架空ファンド」をトップページなどで【お知らせしているが】、あくまでもそれらは「関連セクターの応援を容易にするもの」「その業界自身の盛隆を概算的に知るもの」という目的のものであり、「もしうまくいかなくてもそれはそれで問題ナシ」とする理屈までは思いつかなかった。

このような金融商品は、どちらかといえば海外、特に欧米は考え方が進んでいて、日本ではまだまだという感が強い。今回紹介したがん治療ETFも、そのような「最先端を行く金融商品」の一つといえよう。

ちなみに日本国内のデータでは、日本人男性の二人に一人、女性でも三人に一人は一生のうち一度は「がん」にかかる(厚生労働省、2004年度データ)という結果が出ている。また、人口十万人あたりのがん死亡率はアメリカを抜いて250人に迫ろうかという勢いだ(国立がんセンター)。「がん治療ETF」のニーズはむしろ日本にこそあるのかもしれない。

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