「DRM-free」……英EMIが「英」断、音楽配信でコピー防止せず

2007年04月03日 08:00

EMIイメージ音楽大手の【EMI】は4月2日、イギリス・ロンドンで記者会見を行い、5月からiTune StoreですべてのEMIカタログをDRMフリーで、つまり著作権の管理技術なしの状態で販売すると発表した(【発表リリース、英語】)。

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DRMとは「Digital Rights Management」「デジタル著作権管理」のことで、デジタルデータとして表現されている音楽や動画などのコンテンツに関する著作権を保護し、その利用や複製を制御・制限する技術のことを指す。この技術が導入されているファイルは基本的に、勝手にコピーすることができない。これはデジタルコンテンツが「100%同じものとして」コピーできるため、DRMフリーの状態で配布すると購入者によって劣化のないコピーをされてしまい、著作権が保護されないのでは、という懸念に対する技術である。

今回発表されたのは、「これまでの2倍のビットレートとなる(つまりそれだけ高品質)256kbpsのAAC形式による楽曲を、1曲あたり1.29ドル(従来の曲0.99ドルより少々高い)で、DRMフリーで販売する」というもの。DRM付きの128kbpsも引き続き販売され、さらに30セント余計に払えはDRMなしのバージョンにグレードアップすることが可能となる。

EMIグループのCEOエリック・ニコリ氏とAppleのCEOスティーブ・ジョブズ氏イメージ今回の記者会見にはリリースにもあるようにEMIグループのCEOエリック・ニコリ氏の他にAppleのCEO、スティーブ・ジョブズ氏も出席し、コメントしている。ジョブズ氏は2月6日に【音楽への想い(Thoughts on Music)】という題目で「音楽配信の未来を輝かしいものにするには、DRMを廃止すること」とコメントしており、今回の発表はそれを「有言実行」のものとしたことになる。

EMIが完全にDRMとおさらばしたわけではなく、視聴者に選択肢を残していることや、定額制サービスなどでは適切なDRMを利用すること、このサービスの開始は5月からになることなども語られている。

EMIのニコリ氏、Appleのジョブズ氏はそれぞれ

エリック・ニコリ氏
「私たちの目標はできる限り良いデジタルの音楽環境をユーザーに提供すること」
「アップルはデジタル音楽における真の先駆者。そして私たちが彼らと、品質的にも便宜性でも良い商品をユーザーに提供できる市場の先進的ビジョンを共有できるのを誇りに思う」

スティーブ・ジョブズ氏
「DRMフリーでデジタル音楽を販売するのは、音楽産業にとっても正しい前進である」


と語った。

【Appleのリリース、英語】では「Apple today announced that EMI Music’s entire digital catalog of music will be available for purchase DRM-free (without digital rights management) from the iTunesR Store (www.itunes.com) worldwide in May. 」、つまり「アップルは今日、EMIミュージックのデジタル楽曲を5月から世界規模でDRMフリーの状態で、iTuneストアで販売する」と伝えており、今回の発表内容が日本にも適用される可能性が高いことを示している。

今後EMIの動きに他のレーベルがどのような動きを見せるのか、また日本国内ではどのような対応がなされるのか、注目したいところだ。

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