ファイル交換ソフト・海賊版からのコピーを禁止に・知的財産戦略本部で了承

2007年03月31日 10:00

3月29日に開催された政府の【知的財産戦略本部】において、違法に複製されたコンテンツの複製行為などを禁止し流通を食い止めるため、現行の著作権法を見直すべきであるとする報告書が提出された(【該当会合議事】)。報告書の内容や会合の内容を受けて、5月末に統括される「知的財産推進計画2007」に反映され、具体的な法案化などに向けて関係各庁が動くことになる。

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報告書では「模倣品・海賊版拡散防止条約(仮称)」(【配布資料(PDF)】などから)にもあるように「ネット上で違法に配信されている著作物のダウンロード行為」「海賊版CD・DVDからの複製行為」について、現行では著作権法上が認めている私的複製の許容範囲から外すべきであるとしている。

さらに著作権法自身についても海賊版対策の一環として「親告罪」(被害を受けた側が訴えない限り、法的に問題があると訴えることができない。つまり公的機関も含め第三者が取り締まることができない)の適用範囲を再考慮し、、非親告罪の範囲拡大を含め見直しを行うべきだとしている。

模倣品・海賊版対策の概要は次の通りとなっている。

(1)「模倣品・海賊版拡散防止条約(仮称)」構想の早期実現を目
指す(日本が提唱した国際的条約の締結)
(2)海賊版対策の更なる強化
・著作権法における「親告罪」の見直し
・海賊版の広告行為を権利侵害とする法制度の整備を図る
(3)インターネットオークションへの模倣品・海賊版の出品に対
する迅速な対応を促進する
(4)情報提供の充実
・取締等に関するデータ、情報の積極的公表を図る
・「総合窓口年次報告書」に掲載する内容の更なる充実等を図

(5)戦略的な広報活動を推進する


まん延する海賊版や模倣品などの取り締まりを強化するための法改正は大いに結構なのだが、(「知的財産推進計画2007」がまだまとまっていないので何とも言いがたいものの)、実情を省みないトンチキな内容になる可能性も秘めており、今から注目されるところではある。

例えば「ダウンロードしただけでアウト」ということではあるが、ブラウザ上でコンテンツ(テキストやグラフィック、動画)を見る行為は、各端末へのデータの「ダウンロード」に他ならない。ファイルとして意図的に保存して後に実行したり読み返したりするだけでなく、単にそれらが掲載されているページにアクセスしただけで、(私的複製として合法化されている範囲から除外されるコンテンツを)ダウンロードしてしまうことになる。

このような行為も「アウト」ということになれば、そういうページへの誘導で「あなたはこのコンテンツを見たので著作権法違反として罰せられます。今なら著作権者である私(あるいは第三者)へ謝罪金として云々」という詐欺行為を助長しかねない。分かりやすい例だと、昨今話題になっている「不正にYoutubeに登録されたテレビ番組の動画」を閲覧しただけでアウト、ということだ。

著作権法の私的複製の許容範囲の変更についても、例えば「明らかに意図的な不正行為と思われる場合においては」という前提をつけるなど、何らかの現実に即した内容が求められるだろう。

また、親告罪の適用範囲の変更についても、闇雲に範囲を広げたのでは同じ会議内で提唱している「世界に発することができる日本の新たなる文化・コンテンツ」の育成に明らかにマイナスとなるため、慎重に検討する必要がある。もちろん、罰するべきものには適切以上にペナルティを与えるべきではあるが。

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