吉田茂・元首相の「バカヤロー」発言も! 国会でのやりとりを一発検索「国会会議録検索システム」

2007年03月24日 19:30

国会議事堂イメージ通常は平日昼間に行われているため、NHKなどで時々放送されている国会の生中継を見られる人はほとんどいないだろう(専業の個人投資家なら話は別だが……)。ニュースや新聞で国会の様子の端々が報じられることはあっても、「本当にこんなセリフが交わされていたのか」と気になることや、「こんなことが過去に発言されたのか」と一元的に調べてみたいことがある。そんな時に役立ちそうなのが【国会会議録検索システム】

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これは【衆議院インターネット審議中継】と同じように、国会の審議内容をデータベース化して国民に広く知らしめるための、いわば「IT化」の一環によるもの。ただ、「審議中継」が動画配信であるがため、検索が会議名や案件・発言者名でしかできないのに対し、「国会会議録検索システム」では発言内容でも行えるのがミソ。

ためしに発言者名を「安倍晋三」、検索ワードを「美しい国」と「日本」で検索してみた。該当発言は20件。多いのか少ないのか微妙なところ。
ためしに発言者名を「安倍晋三」、検索ワードを「美しい国」と「日本」で検索してみた。該当発言は20件。多いのか少ないのか微妙なところ。
具体的議事録を選ぶと、検索キーワード部分に色がつけられるので一発で分かる。
具体的議事録を選ぶと、検索キーワード部分に色がつけられるので一発で分かる。

あいまい検索機能がないようなので、微妙な言い回しの違いなどで検索にかからない場合もありうるが、それでも調べ物やニュースを見ていて好奇心に駆り立てられた時には随分と役に立つことだろう。

ちなみに上記画像の例として検索した安倍晋三首相の場合、「美しい国」「日本」では20件、「年金」では39件の検索結果が出た。

なおデータは1999年の第145回国会以降は会議録原稿を元にしたデータ、それ以前は会議録をスキャナで読み取って作成しているとのこと。……ということで試しに探してみたところ、【第一回の国会】は戦後からの数えということで1947年5月20日からのものだった。つまり、戦後国会史のすべてがこのデータベースに詰まっているということになる。

さらに興味が沸いて、昭和28年(1953年)における、衆議院予算委員会での吉田茂・元首相の「バカヤロー」発言に端を発したバカヤロー解散につながる部分を探してみた。次の通り、会議録には記載されていた。(【このあたり】)

(日米の安保体制について民主社会党の西村栄一氏が質問を繰り返す。吉田国務大臣とは吉田茂・元首相のこと)

○西村(榮)委員 総理大臣は興奮しない方がよろしい。別に興奮する必要はないじやないか。(吉田国務大臣――なことを言うな」と呼ぶ)何が――だ。(吉田国務大臣「――じやないか」と呼ぶ)質問しているのに何が――だ。君の言うことが――だ。国際情勢の見通しについて、イギリス、チャーチルの言説を引用しないで、翻訳した言葉を述べずに、日本の総理大臣として答弁しなさいということが何が――だ。答弁できないのか、君は……。(吉田国務大臣「―――――」と呼ぶ)何が―――――だ。―――――とは何事だ。これを取消さない限りは、私はお聞きしない。議員をつかまえて、国民の代表をつかまえて、―――――とは何事だ。取消しなさい。私はきようは静かに言説を聞いている。何を私の言うことに興奮する必要がある。

○吉田国務大臣 ……私の言葉は不穏当でありましたから、はつきり取消します。

○西村(榮)委員 年七十過ぎて、一国の総理大臣たるものが取消された上からは、私は追究しません。しかしながら意見が対立したからというて、議員を―――――とか、――だとか議員の発言に対して――だとか―――――とかと言うことは、東條内閣以上のフアツシヨ的思想があるからだ。静かに答弁しなさい。


残念ながら(?)会議録上では「発言を取り消す」と表明したこともあり、歴史的発言でもある吉田元首相の「バカヤロー」は文字上は存在していない。が、ここまであからさまに消されていると、どの部分が「バカヤロー」なのかが一目瞭然である(笑)。

歴史の流れをかいま見ることができる、貴重な資料が詰まっている「国会会議録検索システム」。今後先の「衆議院インターネット審議中継」とあわせ、さまざまな事実確認などに用いられ、引用されることだろう。

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