日経、「日興、上場廃止へ」報道の経緯を説明

2007年03月13日 06:30

株式イメージ先日お伝えしたように不正会計処理問題で監理ポストに移行していた【日興コーディアルグループ(8603)】に対し【東京証券取引所】などは「上場廃止に値するほどではない」という判断を下し、上場維持を発表した。一方日本経済新聞が2月28日付け朝刊一面で「日興、上場廃止へ」とするなど大手新聞各社では大きく紙面を割いて「日興が上場を廃止する」と断定形で報じている。今件について日経新聞では3月13日付けで【日経「日興、上場廃止へ」報道の経緯】と題する解釈文を発表し、釈明を行った。

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詳細はリンク先で確認してほしいが、日経側では「東証や行政当局筋などの複数の関係者に取材した」ところ、「東証幹部」や「行政当局筋」からの取材内容を元に「日興、上場廃止へ」と判断したと説明している。

ただ気になるのはそれら「関係筋」が上場廃止を決定したと述べている、というわけではなく、「多くの法律家の意見をとったが、全部が上場廃止だった」「廃止の方向は覆らない」という意見に過ぎず、状況証拠、あるいは上場廃止が強く推論できるものでしかなかったこと。手元にある2月28日付けの日経新聞を読み直しても(発売当初から首をかしげたものだが)、一面に踊っている「日興、上場廃止へ」などのショッキングなコピーや本文のほとんどはこれまでに語られてきたことや事実の再度確認、解説に過ぎず、新しい「事実」はほぼタイトルのみであること。

日経225採用銘柄であることや、過去の山一證券の倒産で市場に与えた影響の大きさなどを考慮し、東証側が慎重な態度をとる必要があることは分かる。それにしても3度もマスコミ側の報道に対し強い口調で反論し、最後にはマスコミそのものの姿勢を糾弾しているあたり、今件報道について「?」マークが頭に浮かんだ人も多いことだろう。

日経新聞側の主張がすべて正しいと仮定した上で、今件にはいくつか問題点が浮かび上がる。それらをまとめると、

・東証がほぼ100%廃止の方向で意見が固まり、行政当局側でも廃止の方向だった日興について、東証が一転して「不正はしたけど上場廃止ほどじゃない」と判断を下したのは果たして「東証内部だけの意見による結果」なのか。
・東証は3回に渡り「正式発表する前に勝手に報じるな」と抗議のリリースを出しているが、その前に東証内部組織の情報統制に問題があるのではないか。


という2点に集約することができる。もちろん「西武やカネボウ、ライブドアの件と比べて日興の上場維持が果たされた理由は説明されているが、後付のようなもので納得に足るものではない」という件もあるが、これは前者にかかると見て良い。これらについては今後明らかになる部分もあるだろうし、うやむやにされてしまう部分もあるかもしれない。ただ後者については2009年にも上場を予定している東証としては、いささか問題があるものと思われる。

ここ数年来、日経報道は「また日経か」という言い回しに集約されるように、上場企業の株価を左右するような報道を先行して配信し、当事者から「一部報道について」というIRを出させる必要が生じることがしばしばあった。特に昨年暮れあたりからはその傾向が強く、一日に数社の「一部報道について」というタイトルの告知が東証の情報開示コーナーに並ぶことも。

日興の「上場廃止・維持問題」をきっかけに、日経がどのような姿勢で今件、そして「フライング情報」に臨むのか、今後も注目したいところだ。


■関連記事:
【東証・大証、日興コーディアルについて「上場維持」と判断】
【日興コーディアル(8603)上場廃止へ・各報道機関報じる】

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