「燃料>食品」なとうもろこし事情

2007年03月05日 06:30

とうもろこしイメージ【NIKKEI NeT】の報道によるととうもろこし価格の高騰にアメリカの食品会社が悲鳴をあげており、その状況は日本にも波及しそうである。ガソリン消費を削減する狙いでアメリカのブッシュ大統領が「(ガソリンの)代替燃料であるエタノールを利用しろ」と奨励したところ、エタノールの原料であるとうもろこしの価格が急騰したからだ。そのせいもあり、原料調達コストが上昇してコラ・コーラや食肉加工大手の業績が悪化しているという。後者は牛や豚を育てる飼料のとうもろこしが値上がりしているからに他ならない。

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元記事によるとシカゴ市場のとうもろこし価格は2月下旬に1ブッシェル(体積の単位。1ブッシェルのとうもろこしは25.4キログラム)4ドル台まで上昇し、10年以上来の高値で推移。一年前の2006年初頭の2倍近い価格。

シカゴとうもろこしの2004年9月以降直近の相場動向(先物オン・ザ・ウェブより)
シカゴとうもろこしの2004年9月以降直近の相場動向(先物オン・ザ・ウェブより)

これは「生産農家などでは食品業界よりもエタノール精製会社を相手にした方が商売になるので、そちらにとうもろこしを積極的に販売している」状況であることと、エタノール向けの需要拡大を見込んだヘッジファンドがとうもろこしへの投資を増やし、投機的な値動きをしていることが原因。さらにアメリカ産のエタノールはほとんどとうもろこしを原料としている。

アメリカでは環境保全などを目的に実施している休耕地の一部を、とうもろこしなどバイオエタノール向け原料の栽培用地として切り替えるとの報道もある(【参考記事:NIKKEI NeT】)。とうもろこしへのアメリカでのニーズは相当なもののようだ。

とうもろこしは「なまもの」であるだけに、元々商品先物市場の中でも値動きが激しい類のものとして知られている。元記事にもあるが、とうもろこし以外も積極的にバイオエタノールの原料がアメリカ国内で使われることがない限り、とうもろこしへのニーズが高まる傾向は今しばらく続きそうだ。


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