医療機関の広告規制が変更、一部緩和・一部強化

2007年03月03日 19:30

NHKなどが報じたところによると、医療機関の広告規制が4月から変更され、高度な設備や機器の導入や、医療科ごとの平均待ち時間などを病院などの広告に盛り込むことができるようになった。一方で著名人の治療実績や手術の生存率などは客観的な評価が難しいとして、広告掲示することが禁止される。

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医療機関の広告は、不当な広告で患者があざむかれ被害を受けないよう、現在は限られた情報しか掲示できなかった。これでは必要な情報を事前に入手できず、入院しようとする人が探すのに不便だという声に応え(だからこそ医療関係の口コミサイトや掲示板、優良医療機関リストの本が人気を集めるのだが)、【厚生労働省】では4月から、医療機関の広告規制を変更することになった。まずは3月2日に広告範囲について指針をまとめ、今後細部を調整したうえで最終案に成型し、Q&Aも作成、厚生労働省のウェブサイトに掲載する予定。

各報道機関に配布されたと思われる資料を元に報道された内容をまとめると、指針は次の通りとなる。

●広告可能
・施設の写真や映像
・新生児集中資料室や搬送車などの設備
・MRIなど高度な医療機器導入
・ほかの医療機関の医師に意見を聞くセカンドオピニオンを行っていること
・治療の結果を分析していること
・診療科ごとの平均待ち時間など

●広告不可
・死亡率や手術後の生存率(客観的な評価が難しいというのが理由)
・比較、誇大、虚偽広告
 「県内一の医師数」は比較広告にあたるため×。
 「絶対安全な手術」はありえないので虚偽広告にあたる。
 「割引キャンペーン実施中」は費用を強調するので×。
 「理想的な医療提供」も抽象的に過ぎるので×。
・患者・著名人の体験談や治療実績は客観的な事実であることを証明できず誤解を生じる可能性があるので×。

※広告の定義はチラシやパンフレット類、ポスター・看板類、新聞・雑誌(記事は広告でないため除外)、バイブル本や治療法を紹介した書籍など


まだ指針の段階だが、広告規制に違反した医療機関に対しては各都道府県が指導や立ち入り検査を実施し、従わない場合は中止命令や行政処分も行うことができるとしている。

最終案がサイト上に掲載しないと詳しい中身を確認できないので、精査はそれからになるが、告知できる範囲が広がるという点は非常にありがたい。実際当方も自分が入院することになる病院のサイトを入院前に検索した際、あまりにも情報が少なく不安を覚えたものである(共通項目をまとめ上げた比較検索サイトも登場するかもしれない)。

一方、著名人の体験談は単なる病院側の自慢話(笑)になるので広告できなくとも別にかかまわないが、手術後の生存率なども広告禁止処分とするのは諸刃の剣かもしれないな、という感じがする。確かに、患者の容態次第で数字は大きく変化するので、病院自身の判断材料としては主観的な部分が出てくるだろう。が、同時に患者側としてはもっとも気になるデータであることも事実。何でも公開すればよい、というわけではないが、参考事例として提示を任意化するのはかまわないのではないかと思われる。

また、全般的な話として、「病院サイドの広告展開、特にネット上での広告を軽視する傾向」や「体験談などを全面禁止する」件も今後の課題となるだろう。前者は医療機関自身に努力してもらうしかないし、後者はこれまで以上に「勝手サイト」的な口コミサイトや冊子記事を頼りにしなければならないのかもしれない。

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