タミフル使用時の行動変異で厚生労働省が注意喚起

2007年03月01日 08:00

お薬イメージ【厚生労働省】は2月28日、抗インフルエンザウイルス薬であるリン酸オセルタミビル(タミフル)を服用した中学生が自宅で療養中に、何の前触れもなく自宅マンションから転落するなどの不可解な行動をとって亡くなるケースが相次いでいることから、「未成年者がインフルエンザにかかると精神的神経症状が出て、異常行動をとる場合がある」とし、周囲の者に十分な注意をすることなどを喚起する発表を行った(【発表リリース】)。

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タミフルイメージタミフルはくだんの新型インフルエンザにも対抗薬として効くとされている、抗インフルエンザウイルス薬の先頭をいくもの。しかし使用時において、特に未成年者の間で通常では考えられない行動を突然にとり、それが原因で命を落とす事例が相次いでいることから、関係者の間では厚生労働省など関係各省に対し、綿密な調査と注意喚起を行うよう訴えていた。しかし厚生労働省側ではこれまで、研究班などの調査から「タミフルの服用と異常行動との因果関係は明らかではない」と結論付け、特別な注意は行っていなかった。

しかし今年に入り問題となる事象が相次いでいることや、毎年恒例のインフルエンザの流行時期に入ったこと、さらには新型インフルエンザの流行に備えた備蓄薬としてタミフルが注目され多くの人に知られるようになったことなどもあり、全国的に不安が広まっていることを受けて、厚生労働省側でもようやく重い腰を上げたことになる。

リリースでは「タミフルの処方の有無を問わず」と前置きした上で、自宅でインフルエンザの療養を行う場合、「異常行動の発現のおそれについて説明すること」「少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮すること」と注意を行っている。実際同省の研究班の調査結果では異常行動の95.6%が発症後2日間に生じており、この「2日間」というガイドラインは有効だと思われる。

ただし今回の発表でも「現段階でタミフルの安全性に重大な懸念があるとは考えておりません」「タミフルの販売開始以前においても異常言動の発現が認められており」「タミフルの処方の有無を問わず、異常行動発現のおそれがあることから」など、タミフルと問題行動との関連性をことさらに否定した表現が目立つなど、内情はさほど変わらないようにも見受けられる。

すでに研究班の調査結果で、服用対象が未成年の患者の場合、発熱からまもないころにはタミフルの服用の有無にかかわらず、けいれんや意識障害など異常な行動が現れるおそれがあるという結果が出ているのに、「まだタミフルがトリガーとなったわけではない」と言い切るあたり、少々疑問符が頭に浮かばざるを得ない気もする。「タミフル服用イコール異常行動」というわけではなく、あくまでも「可能性としてきっかけになりうるから」と認めるだけでよいのに、それすら行わないのは、恐らく風説の流布を気にしているのだろう。また、明らかになった事例数が「さほど」多くないのも一因かもしれない。

今後さらなる調査と事実認識が求められることだろう。


■関連サイト(外部)
【薬害タミフル脳症被害者の会】

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