NHKの「週刊こどもニュース」が面白い

2007年03月10日 19:30

子ども向けニュースイメージ最近受信料義務化や経営陣の体たらくさばかり報じている(事実だから仕方ないが)というわけではないが、たまには「NHKってイイね」というお話を。毎週土曜日夜6時10分から一週間のニュースを子ども向けに優しく教え解く[このページ(nhk.or.jp)は掲載が終了しています]という番組が放映されているのだが、これが実に面白く、ためになる。今週放送の内容は特に驚かされ、そしてあらためて素晴らしさを実感した。

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今週特集「今週の大はてな」で解説されていたのは、なんと「世界同時株安」「株価の不安定はなぜおきるのか」について。「確かに今週のネタとしては適切だろうが、そんな小難しい経済をテーマに、子どもに分かるような説明ができるのか……」といぶかしがったものだが、これが実際に見てみるとあら不思議。図解や模型を使って具体例を挙げ、非常に分かりやすい説明が行われた。映像をキャプチャーしてお見せしたいくらいであるが、さすがにそれはできないので、上記リンクから公式サイトを確認してほしい。一週間ほど経てばバックナンバーとしてダイジェストが掲載されるはずだ。

番組では模型を使い、前提として円キャリー・トレード(金利の安い日本で資金を大量に借りて株で運用して差額を儲ける)の説明が行われた。その上で、「株価の上昇が企業の儲けに先行しすぎて乖離が大きすぎるのではないか」という懸念が世界中に広がっている中で、「上海市場で株の儲けに税金をかけるという噂」が流れ、上海市場で売りが殺到して株価は急落。それを見た他の市場も連鎖反応的に売られて急落したと解説。さらに急落した中で「ここまで下がればまた上がるかも、と考えて買う投資家も出てくるため株価が乱高下する」という結論付けをしていた。そして「株価は会社の実態を示しているだけでなく、今回のように株のやり取りだけで上げ下げすることがある。それをマネーゲームという」ということまで教えていた。はっきり言って驚いた。ここまで簡素に、しかも分かりやすく状況説明をするとは。

「こどもニュース」が素晴らしいと感じたのは、「こどもニュース」が子ども向けニュースだからである……とトートロジーでごまかすわけではない。「こどもニュース」は対象を子どもにしている以上、「わかり易く説明しなければならない」「難しい用語は使えない」「相手に理解しやすいように伝えねばならない」という、さまざまな問題を解決してニュースを創り、番組を作らねばならない。

今日の例ならいきなり「円キャリー・トレードが盛んに行われている中で……」と説明しても、視聴者の子どもたちはみな「?」マークを浮かべてしまうだけだ。そこで番組ではいかに容易でわかりやすく、しかも既存の知識だけで状況を説明できるかを考え、まとめねばならない。相手にしっかりと自分の意志を伝える必要があるメディア、完全な閉鎖的日記をのぞいたブログやニュースサイト、もちろん新聞やテレビ、そして仕事での営業やプレゼンテーション、果ては日常会話においても考えねばならない、共通事項だ。

その点、「こどもニュース」のように、子どもに説明できるくらいに懇切ていねいに分かりやすくかみ砕いて説明することができれば、逆説的に「どんな相手にでも通用するプレゼンテーションができる」ということになる。つまり、自分の意志を伝える対象を広めることが可能になる。これが出来れば非常に大きな武器になるだろう。

当方(不破)も【デジモノに埋もれる日々のWii用最適化記事】を読んだあたりから、「将来はトップページの改編とあわせて、Wii用のページも同時に出力するようにテンプレートをいじりたいな、でもそうすると再構築時間が今の2倍になるなぁ」と思考ゲームを繰り返している。Wiiそのものをまだ購入していないし、果たしてWiiで読むというニーズがあるのかどうかも不安。色々手間をかけて全然利用されないのでは涙が出てしまう(アンケートを採ってみるのもありか)。

それとあわせて「Wii向けにはまず最初は既存記事のレイアウトコンバートでいいけど、将来的には記事を優しくかみ砕いた、子どもでもわかりやすいニュースを流せないかな」ともちらほらと考えている。その見本としても「こどもニュース」は役に立つ。少なくとも「こどもニュース」に関してはNHKに最大限の敬意を表したい。

身近なところに素晴らしいアイディアや発想は転がっているもの。要はそれらをどのようにリンクさせて新しいものを作るのかという点にある。「こどもニュース」で学べることはもちろん、そこからさらにどんなことを思いつけるのか、生み出せるのか。当方にとって精進の日々はまだまだ続きそうだ。

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