【更新】総務相が放送改革担当課長を事実上更迭・「NHK対応の手ぬるさ」が原因とも

2007年03月01日 12:30

[読売新聞]など各誌は3月1日、放送法改正案のとりまとめを担当する総務省放送政策課の南俊行課長を3月1日付で、電気通信事業紛争処理委員会事務局の吉田真人参事官と交代させる人事を発令した。この際、菅義偉総務相は記者団に対し「NHK改革を加速させるため、新しい視点でやる必要がある。(そのための人事異動であり)適材適所だ」と述べ、今件が総務相自らの意志によるものであることを示唆した。

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元記事にもあるように、省庁のトップである閣僚が課長人事に直接介入、さらには法案提出直前に担当課長を交代させることは極めて異例(例えるなら決算直前に社長が経理部経理課の課長を自ら交代させるようなもの)であり、「南課長の更迭」との見方が強まっている。

NHKと総務省の間では、放送法改正による受信料の支払い義務化と、NHK内部の改革・受信料値下げの点で激しい駆け引きが続けられている。総務省側は何度と無くNHK側に働きかけているものの、一向に総務省側の意向に従わないNHKに対し「このように事態が進展しない状況にあるのは南課長の調整力不足によるものだ」という判断が働いたものとも思われる。

菅義偉総務相はNHKとの交渉・対応と、今回の人事異動・責任問題は「まったく関係ない」ともコメントしたそうだが、状況から判断するに深い係わり合いがありそうだし、逆に本当に係わり合いがなかったとしても周囲は「やはり関係しているのでは」「それだけ総務省側がやる気なのでは」と思わせるだけの効果はある。

新たに着任する吉田真人参事官がNHKとの折衝において、どのような対応をとるようになるのか、今後の展開に注目したいところだ。


「2割値下げで2008年度から受信料支払い義務化」(1月11日、菅総務相)
「もう限界だから受信料値下げは無理」(1月12日、NHK会長)
「合理化すれば値下げは可能」(1月16日、総務次官)
「今の受信料のままでは国民が許さない」(1月17日、菅総務相)
「支払いを義務化しても受信料がすぐに増えるわけではない」(1月17日、NHK経営委員長)
「状況を見極めたうえでお答えせざるを得ない」(1月17日、NHK橋本会長)
「きちんと説明できる態勢作りをしろ」(1月17日、菅総務相)
「値下げはすべきだが受信料義務化で契約者数が増えてから」(1月18日、民放連会長)
「徴収コストがかかりすぎ。抜本的な見直しをして数値目標を設定しろ」(1月26日、菅総務相)
「値下げは将来的にはしたい。でも分からない。具体的な数字は挙げられない」(1月26日、NHK橋本会長)
「料金体系の抜本的見直しを9月までにまとめる。その中で可能ならば値下げを考慮する」(1月31日、NHK橋本会長)
「受信料支払いの対象を把握するために住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を使いたい」(2月1日、NHK橋本会長)
「9月では遅い。もっと早く結論を出せ。住基ネットなど必要は無い。現在の住民票による調査で十分だ」(2月2日、菅総務相)
「住基ネットのデータは不必要。既存システムでやりくりしろ」(2月5日、総務省松田隆利事務次官)
(ここまでで「2割値下げと総務省は言うがその根拠を示せ」NHK側)
「2割値下げの根拠を4パターンに分けて提示した。今後さらに精査してつめていく」(2月5日、総務省)
「色々考察する必要があるので値下げができるかどうかの試算に9月までかかることは譲れない」(2月13日、NHK経営委員長)
「受信料義務化は必要だがNHKの改革とワンセット。今は全然改革が進んでいない。だから義務化には反対」(2月23日、総務省タスクチーム)
「受信料義務化のタイムリミットは3月13日。それまでにNHK側は誠意ある態度を示せ」(2月27日、菅総務相)
「(総務省がなんと言おうと)料金体系の抜本的見直しは9月末までかかる。それは譲れない」(2月27日、中川潤一理事・小林良介理事)
「放送法改正案とりまとめとNHKとの折衝役の課長を更迭」(2月28日、菅総務相・総務省)←現在、ここ。



(最終更新:2013/08/22)

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