金融庁が格付け機関を登録制で監督、規制の方向へ

2007年02月27日 08:30

株式イメージ【NIKKEI NeT】が報じたところによると【金融庁】は格付け会社を規制する方向で検討に入った。顧客との利益相反※1や格付け相手の重要情報を悪用しないように法律で禁じるという。この規制により、問題があれば金融庁側から業務改善命令などの行政処分を出せるようにする。これは日本だけの話ではなく、アメリカで規制導入が決まりヨーロッパでも規制強化の動きがあるため、それに歩調をあわせる形となる。

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今回の「格付け会社への規制強化」案は投資家向け情報の質を高める狙いがあるという。首相の諮問機関である金融審議会が今夏から議論をはじめ、年内にも具体的な内容を決めるとのこと。金融商品取引法の改正で対応する案や、新法を作る案も浮上している。

このような動きが生じたのは、現在監理ポスト入りで3月にも上場廃止か否かの判断が下される【日興コーディアルグループ(8603)】の問題に代表されるような、情報開示をめぐる不祥事がここ数年特に増加しているため。状況を是正する方策の一つとして、格付け会社を「市場に対する投資情報の伝達役」と位置づけ、存在意義を高めるのと共に、一定の規律を求めることになる。要は格付け会社に対し国が「投資家への情報伝達者」としてのお墨付きを与える代わりに、「変なことするとお仕置きだぞ」という枠に当てはめるという具合だ。

そもそもこれまで格付け会社による「顧客との利益相反や格付け相手の重要情報の悪用」が金融関係の法律で取り締まり対象になかったことが驚き※2。また一方で、格付け会社や格付けを行う証券会社による無茶な格付け、あるいは市場コントロールと自社の利益創出のためとしか思えないような格付けの発表(例えば特定会社への格付けを何か適当な理由をつけて下げて市場価格の下落を誘い、その一方で関連・自社売買部門でその銘柄を買いあさり、頃合を見て格上げをして株価上昇をうながし売却して差益を得る)など、本来格付け会社があるべき姿「公明正大な、そして独自の観点で企業を評価し、投資家らに判断材料を提供して対価を得る」を逸脱しているような行為が相次いでいるのも否定できない。

大義名分が「お墨付き」ということであっても、今回の検討が現実のものとなり、金融庁による緊箍児(きんこじ・頭の輪)が各格付け会社につけられるのであれば、格付け会社による不当な思惑で個人投資家が振り回されるという状況も少しは改善されることだろう。動向に注目したいところだ。

※1:利益相反
特定の行為で一方の利益になるが同時に他方の利益になる行為。依頼者からの業務依頼があった際に、中立の立場で仕事を行わなければならない者(この場合は格付け会社)が、自己や第三者の利益を図り、依頼者の利益を損なう行為のことを指す。
※2:「顧客との利益相反や格付け相手の重要情報の悪用」が金融関係の法律で取り締まり対象になかった
契約違反ともなれば民法上で問題となりうる。内務規定で設定されていればもちろんそれでも罰せられる。

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