景気回復を実感できないのは企業の出し渋りが原因・野村証券研究レポートを読み解く

2007年02月27日 08:00

株式イメージ【野村證券(8604)】は2月20日、同社の金融経済研究所などの調べとして、2007年度から2008年度の経済見通しをまとめたレポート【日本経済:踊り場脱却に近づく日本経済(PDF)】を発表した。それによると、前回の同様のレポートよりは幾分成長率が鈍化しているものの、日本の2007年度実質GDP成長率は+2.2%、2008年度は+2.8%が期待できるという。

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レポートによると2005年度(確定)から2008年度(予想)までの実質国内総支出は

2005年度……+2.4%
2006年度……+2.0%
2007年度……+2.2%
2008年度……+2.8%


となる。分析では「景気拡大の戦後最長記録を更新し続けていることを裏付けている」とする一方で、「日本経済が軽い踊り場を脱したと判断するのは早い」とし、その踊り場を脱するには「輸出環境の改善」が必要であるとしている。同時に今後は個人が景気を支える新たな局面「景気回復の後半戦」に移行すると期待される、とも述べている。

この原因についてレポートでは

・資源価格の高騰など貿易条件が悪化して「国内企業部門から海外に所得が数兆円の規模で流出」
・それを補うために個人所得から国内企業へ所得転移が行われた
・だから個人所得が抑制され、個人消費が回復しない原因となった
・今後個人が景気を支えるためには貿易条件を改善する必要がある


と順序立てて説明している。他の部分でも「輸出主導で軽い踊り場克服へ」というように、「輸出を活発化されて国内景気を盛り上げよう」という言葉が踊る。

「景気回復には個人消費の活性化が必要不可欠」と何度と無く語られている。このレポートでは「個人消費を盛り上げるには輸出をもっと活性化させて、企業が個人から所得を吸い取り穴埋めするようなアクションをとらないようにしなければならない」と結論付けている。

言い得て妙な気もするが、「それって要は『今の景気回復が世間一般に浸透していないのは、企業が自らの経営努力を怠り、個人への利益分配を渋ってるから』ということでは?」という結論も導ける。簡単に例えると「企業は『自分がお腹一杯になるまでは民間には最低限のあまりものしか手渡さないよ』という姿勢を貫いているので、いつも民間はお腹をすかせている」というところだろう。

「経営努力」を「個人への利益配分を渋る」という選択肢を選ぶことで実行している、というのならそれはそれでかまわないの。が、その旨はっきりと各企業は宣言してほしいもの。真実を語ることで、その真実を受けてそれが正しいかどうか、市場が判断をしてくれることだろう。

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