地デジチューナーの低所得者への無料配布、政府与党が検討

2007年02月19日 08:00

時節イメージ【NIKKEI NeT】は2月17日、2011年7月にテレビ放送の地上波が全面的にデジタル放送に移行し、これまでのテレビでは放送を見ることが出来なくなるのを政府与党が考慮し、低所得の高齢者世帯などへ受信機の無料配布を検討すると伝えた。買い替えが困難な世帯に対する支援策が必要だと判断したという。

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地デジ(地上デジタル)放送への切り替えは賛否両論が論じられ、「必要ない」とする意見もあるが、【韓国アナログ放送停止を2年延期・IT強国政策も曲がり角?】にもあるように日本は国際電気通信連合(ITU-R)で「2015年までにはデジタル放送に転換する」という協約を結んでいるため、地デジへの切り替えは規定事項となっている。

一方で、締め切りまでに十分な告知活動は行うに違いないが、それでもいざ2011年7月になると「テレビが映らない。どうしよう」と(地デジ未対応のテレビでは放送が受信できなくなることを理解せずに)困る人が多数現れることだろう。今回の「無料配布」には、そういう人たちへの喚起の面もあるものと思われる。

元記事によれば配布は地方自治体が行い、財政面で交付金などによって国が支援。さらに法令で今件に関する費用ねん出のために地方債発行を認めるなどして、自治体の負担は全体の1割程度に抑えるという。外部取り付け型の受信機は「現在」2万円弱から市販されており、、簡易型なら1台数千円程度で調達可能と推定している。配布は地方自治体が担い、国が財政支援する。新たな交付金のほか、地方債発行を認めて元利償還費用を交付税で賄う案を軸に調整。自治体の負担は1割程度に抑える見通しだ。

津波情報や火山噴火情報、政治情勢、政府の緊急広報放送など、伝えねばならない情報を伝える媒体としてテレビは必要不可欠なものとなっている。そのテレビを受信することが出来ない家庭が多数出てくるのは色々な意味で問題がある。何か突発的な事態となった時に、情報が無いことが一番の不安要素なのだから。その意味で、今回の「地デジチューナー無料配布」は興味深く、また意義のある政策といえる。

その一方、地デジが受信できない地域が多数現れる可能性があること(視聴者の低下は広告媒体としての威力の低下、そして広告費の問題とも深く関係してくる)が指摘されている。また、先日から話題に登っているNHKの受信料の義務化について、「地デジチューナー無料家庭には自動的にデータが受け渡され、受信料を支払わないと作動しない」あるいは「NHKの受信料を支払わないと無料配布してあげません」などという姿勢を採る可能性も否定できない。

個人的には「無料配布しなければならない所帯にはワンセグでいいのでは」という気もするし、配布基準の設定も緒論があるだろう。また、実際にこれが本決まりとなれば、既存の地デジチューナーの需要が落ち込むことも想定でき、家電メーカーの反応も気になるところだ(もっとも「地方自治体による一括お買い上げ毎度あり~」を狙うメーカーが賛成に回るので、微妙なところだが)。

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