「セカンドライフ」のすべてが大盛況ではない・ゴーストタウン化した商店街と「知ってもらうこと」の大切さ

2007年02月19日 06:30

『セカンドライフ』イメージ次から次へと大手商社が参入し、多くの企業が日本語対応をてぐすね引いて待ち望んでいる状態が続いている、多人数同時参加型ネットワークコミュニケーションゲームセカンドライフ(Second Life)。参入すれば誰もがハッピー的な雰囲気がまん延しているが、【CNET Japan】に『セカンドライフ』の現実の一端を知ることができるレポートが掲載されていた。タイトルは【誰も買物に来ないsecond lifeのショッピングモールの現実】

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レポートでは「来場客は誰もおらずゴーストタウン化している」、建物の創りは立派で入店している店舗のレベルも高いショッピングモールが紹介されていた。掲載されている写真を見ると、整然と並べられた高品質の店舗が立ち並び、ビジュアル的にもきわめて美しい。しかし客は来ない。バーチャルな世界での無人地帯なだけに、寂しさが一層際立っている(写真を見る限り、一部店舗に来場者を表す緑のポイントが見えるのでまったくの無人ということでもなさそうだし、時間帯によっては多くの人が訪れているのかもしれないが……)。

元記事では、『セカンドライフ』をはじめとしたネットゲーム上のショッピングモールでは、「ワンクリックでその場から立ち去ることができるため、魅力と告知が無ければこのようなゴーストタウン化は容易にありうる」とし、厳しい現実への認識を語っている。

現実の商店街ならあちこちの店を渡り歩いたりウィンドウショッピングをするだろうし、それらのお客自身がショッピングモールを活性化させて「繁盛している」という演出をしてくれる。コンビニでの雑誌コーナーを窓際に置き「立ち読み効果(立ち読みしている人が外から見えるので、店が流行っているように見える)」を狙うのと同じ考えだ。買い物に訪れるお客自身が、ショッピングモールの設備の一部足りえるわけだ。

しかし『セカンドライフ』などではその効果は望めない。通りでの井戸端会議はチャットをすればよいし、行きたい店へは直接ワープすればよい。「色々なお店を一か所に集めて便利にする」というショッピングモールの利点は、実はネットゲームにおいては「さほど」重要ではないという現実がある。

この状態はまさに、ホームページ作成ブーム、あるいはブログ作成ブームのそれに似ているといえる。「ホームページ(ブログ)を作れば世界中の人が見に来てくれる、買い物をしてくれる」と勘違いした企業がページを作ったものの、思ったような成果が上がらずカウンターは毎日一桁台しか動かず、閑古鳥が鳴くという始末だ。ブログの場合は更新の際にRSSを用いる仕組みがあるためホームページと比べれば「外への情報発信」という点では優れているが、多くのブログが乱立している昨今では効果は望めない。要は「ホームページやブログを立ち上げれば『世界につながる』のは確かだけど、つながっているだけでは誰も来ないよ。知りたい人にそのことを伝える努力をしなきゃ」ということ。

例えるなら、どんなに距離が近くとも、自分がその存在を知ることが無ければ永遠にそのお店に行くことはない、ということだ。気まぐれに近所を散策したら、意外な場所に意外なお店を見つけて驚いた、という経験をした人は多いだろう。その散策が無ければ、あるいは広告や口コミで存在に気がつかなければ、例えば自宅から100メートルしか離れていない場所にその店があっても、その存在に気がつかずに生涯を終えるかもしれないのだ。

『セカンドライフ』などのネットワークゲームでは、その距離感が事実上無いものとして扱われる仕組みがあるため、「気づかせる」ことの重要性はますます高くなる。元記事ではさまざまな仕組みを凝らして多くの人に「気づかせる」「知ってもらう」プロモーション活動が必要であり、単に作ればよいのではと諭した上で「プロフェッショナルが必要だ」と結論付けている。

ネット上のサイトやブログを多くの人に告知し来訪してもらう方法の一つに、SEO(サーチエンジン最適化、Search Engine Optimization)という手法がある。来てもらえばそれで済むのではなく、来た上で効果的な「お客様」になってもらうための手法であるSEM(Search Engine Marketing)などと共に、ネット上のプロモーション手法として一つの学術体系を構築するものとして世間に認められている手法である。要は(無理強いではなく)多くの「ああ、こんなものがあったんだ。知ってよかった」と思える人に、自分のコンテンツの存在を認知してもらう技法、アピール方法だ。この分野を専門事業とする企業が上場するくらい(【アウンコンサルティング(2459)】)、ニーズは高まりつつある。媒介をネット上としているだけで、要はごく普通の広告代理店が行っている事業と何ら変わりは無い。

ただ、ネット上のプロモーション活動では現実のそれとはルールや仕組みがまったく異なることが多い。これまでの常識でネット上のプロモーションを行おうとすると、今回の元記事にあるような「ゴーストタウン化」を招きかねない。今後はネット上でのコミュニティ戦略を前提にした、プロモーション活動へのニーズがこれまで以上に高まることだろう。そしてそのニーズに応えるには、これまでの「リアル(現実)での常識を前提としない」現状認識と新しい手法が必要になるに違いない。


(最終更新:2013/09/12)

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