巨大な水袋を牽引して「お水」を海上輸送・和歌山県で実験

2007年02月19日 06:30

独立行政法人【水資源機構】【日本郵船(9101)】の子会社【MTI】では、渇水地域に大量の水を運ぶ手段として、巨大な「袋」に水を詰め、それをタグボートで引いて海上輸送する実験を実施している(【発表リリース、PDF】)。

スポンサードリンク

この実験は渇水時や災害時等の緊急時に、機動的で大量輸送が可能な水供給手法の実用化に向けた課題を洗い出すため、高強度複合繊維製の水輸送用バッグに淡水を入れて海上をタグボートで曳航するというもの。全長44メートル・容量約1000立方メートルの専用バックに熊野川を水源とする水道水1000トンを入れ、和歌山県新宮港から徳島県富岡港への試験輸送を行う。2月13日から18日までは曳航訓練などが実施され、19日からは本格的な曳航訓練に移る。

水を細長いバックに納め、タグボートで牽引していく。
水を細長いバックに納め、タグボートで牽引していく。

水の輸送には専用のトラックやタンカーが一般的だが、重量や体積の割には単価が低く、輸送には割に合わない場合が多い。それだけに、輸送コストを抑えられる(タンカーの半分程度で済むという)今回の実験には注目が集まっている。地震などで水供給がままならなくなったり、猛暑で給水制限が行われる地域に、一気に大量に水を運べるこの仕組み、ぜひとも成功してほしいものだ(もっとも、このバッグが寄航できる場所には必ず海水があるのだから、海水を真水に換えるポンプを装備した小型船を複数用意すればよい、という発想もあるのだが……)。

ちなみに今回のように「大きな袋に輸送品を詰めて船で運ぶ」という運送スタイル、太平洋戦争中に似たようなコンセプトのもの「大型運貨筒」が日本独自の発想として開発され、使用されている(参考文献『太平洋戦史シリーズ Vol.36 海龍と回天 知られざる帝国海軍特殊潜航艇秘史』)。こちらは葉巻状の船体で動力を持たず、潜水艦に引っ張られる形で中に詰められた物資を運ぶ仕組みだった。制空権を敵に握られ、島々への物資の輸送が困難になった日本側が生み出した苦肉の策だったが、結局目的地に到着して陸揚げする際に発見されて攻撃を受け、大きな成果を挙げることはできなかった。「日本独自の発想」と表現したが、もちろんアメリカ側はそんなことをする必要も無く、普通に輸送艦で運べばよいだけの話ということだ。

今実験ではあくまでも「淡水(飲料水)」を運ぶものであり、先にも指摘したように「ろ過装置を使うという代替案が容易に考えられる。ただ、中身を水では無く何か他のものとした場合、この輸送方法の価値は飛躍的に高まることだろう。そのようなニーズがあるのかどうか、素人の当方には今のところ思いつかないのだが……。


(最終更新:2013/09/12)

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ