芸術じゃないけど爆発する!?「爆発的低気圧」とは

2007年02月18日 12:00

爆発的低気圧イメージ最近時々気象情報コーナーで耳にするようになった、ちょっと驚きのキーワード「爆発的低気圧」。最初にNHKで聞いた時には「的」の部分を聞きはぐり、「低気圧が爆発してるんだって!? 竜巻など目じゃないじゃないか!!」とあせってしまったものだが、ことはそうマヌケな話で済むような問題でもなさそうだ。

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この「爆発的低気圧」というもの、昨年末や年明けなどに日本に到来した(北海道などにも大きな被害をもたらすという、これまでには無かったような現象もあった)、「台風ではないけど台風並みに発達したパワーのある低気圧」「爆発的に発達する温帯低気圧」を指す言葉であり、正式な定義としては

温帯低気圧のうち、爆発的に発達する低気圧のことで、緯度60゜を基準にとり、緯度φの所で中心気圧が24時間に24(sinφ/sin60°)hPa以上降下した温帯低気圧

(【ウェザーマップ】より)


となる。気象の素人である大部分の人(含む当方)にしてみれば「?」マークで脳内エリアが占領されてしまうような定義だが、要は「すっげー威力の低気圧なので、単なる低気圧という表現では聞き手への警告に事足りない」として「爆発的」という表現をつけたようだ。

ちなみにこの「爆発的低気圧」という表現、上記ウェザーマップ社の代表で、お天気ニュースキャスターの顔としても知られている【森田正光氏のブログ】によると、元々は「爆弾低気圧」という表現だったものだが、色々と誤解を招く可能性があるので「爆発的低気圧」という表現にしようという動きがあるとのこと。今回当方が耳にしたのもその流れにそったものというわけだ。

また森田氏は上記ブログの中で、「視聴者の生命や財産を守ることができるなら、(爆弾だろうと何だろうと警告の意味合いが強い言葉を)使ってもいいのではないでしょうか」と主張しており、納得させられる向きもある。当方は勘違いで「爆発低気圧」と聞いてびっくりした。「爆弾低気圧」ならその意味を知らなかった人にとっては「なんだなんだ!?」と驚き、注目し、気象番組が流す注意事項に耳を傾けることだろう。

さて。

なぜこれまで「爆発的低気圧」という言葉が使用されておらず、ここしばらくの間に急に耳にするようになったのかという疑問がわいてくる。言葉が使われていないということは、その事象(対象となるような大規模で強力な低気圧の発生)が無かったことになるわけだが、これはさまざまな意見があり、「これこれこうだから」という確定付けられた説明はないようだ。

ただ、昨今の地球温暖化の影響が強いとか、海流の変化によるものだとかという話はちらほらと入っている。また、これまで日本ではほとんど発生していなかったのに去年から急増している竜巻の被害も、同じ要因を根としているのではないか、という意見もある。

ここで「だから地球温暖化を防止するために二酸化炭素の排出を云々」と結論付けるのは急に過ぎるし、どこぞの新聞社のコラムのように(笑)論拠のない段落をつなぎ合わせたような文面になるのも望むところではない。

そこでここでは、今回の「爆発的低気圧」に関する文献や資料を調べていく過程で頭に思い浮かんだエピソードが掲載されている、愛読書の一つ『国立博物館物語(岡崎二郎・小学館)』からの引用で締めくくらせてもらうことにする。

気がついた時にはもう遅すぎるんだ。僕か「こわい」って言ったのは、君たちのその無関心なのさ。
「こわい」ってことに気がつかない所がこわいのさ。
いや……
もっとこわいのは、知っていても気づかないフリをすることなんだよ。


(最終更新:2013/09/12)

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