世界中から「今日の新聞一面」を収集したサイト「Newseum」

2007年02月27日 12:30

Newseumイメージ最近はネットにお株を奪われつつあるということでインターネットとの連動企画など必死に起死回生の手立てを打つようすがうかがえる紙情報媒体の代表格・新聞。しかし今なおもっとも権威があり信頼されている媒体であることもまた事実。それら新聞の個性がよく出ている第一面こと「新聞一面」を収集したサイトがアメリカには存在する。それがニュースとミュージアム(博物館)をかけた、ナイスな造語で名づけられているNewseum(ニュージアム)だ。

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Newseumではアメリカ国内の新聞を中心に、世界各地の新聞について、その新聞の顔ともいえる第一面だけを毎日更新して掲載している。実際に本文まで読める縮尺ではなく、見出しやレイアウト、写真が読める程度なので「これで新聞をとらなくて済む」というインチキなことは出来ないので、念のため(笑)。

「今日の新聞一面」の一覧。色々な新聞がそれぞれの主張から一面を構成する記事を決定しているのが分かる。
「今日の新聞一面」の一覧。色々な新聞がそれぞれの主張から一面を構成する記事を決定しているのが分かる。

新聞の第一面は本で言えば表紙にあたり、非常に目立つ。当然第一面には、その新聞がその日もっとも伝えたいこと、伝えねばならないと判断したことを載せる。また、面積が大きければ大きいほど、目立つ文字であればあるほど、注目して欲しい度合は大きくなると見て良い。さらに各新聞社はその会社の方針や取材で得た情報、まとめあげた分析、その他さまざまな理由付けで「第一面」を構成するため、同じ事象が生じても新聞によってとらえ方はまちまちだし、第一面を飾るニュースは別々のことが多い。もちろん、その方が個性豊かで読むほうも楽しい(楽しければウソ偽りでもよい、というわけではもちろん無い)。

この「Newseum」ではそんな各新聞の個性や主張がもっともにじみ出ている第一面を概要的にではあるが把握することができる。自分が住む国(もちろんこのサイトの読者のほぼ100%は日本からだろう)では滅多に見ることが出来ないアメリカやヨーロッパをはじめ、世界各国の新聞がどのような体裁で、今日は何をトップ項目に挙げているのかを毎日確認することができ、非常に興味深く、楽しい構成となっている。

親切なことに、この「Newseum」では一面をチェックした新聞社の公式ウェブサイトへのリンクも貼ってある。ビジュアル的に概要をざっと確認して「ああ、もっと詳しく知りたいな」と思ったらそのリンクから公式サイトに飛び、具体的な本文などを確認することも可能だ。

データベースの容量の事情からか、毎日すべての過去データが残っているわけではないが、「カタリナ台風」「スペースシャトルコロンビアの事故」など主要ニュースが掲載された時のバックナンバーが収録されているのも興味深い。

試しに9.11.に関するものの一覧を掲載してみる。残念ながら「ブラックマンデー」のものは収録されていないようだ。
試しに9.11.に関するものの一覧を掲載してみる。残念ながら「ブラックマンデー」のものは収録されていないようだ。

アメリカ合衆国を中心に世界各地の地図を映し出し、その地図から新聞をピックアップすることも可能。

世界地図を元に新聞をチェック。アジア周辺地区はまだ少ない。日本国内からの新聞では朝日新聞だけだ。
世界地図を元に新聞をチェック。アジア周辺地区はまだ少ない。日本国内からの新聞では朝日新聞だけだ。

このサイトでは単に新聞のデータを収集するだけではなく、当日の新聞のヘッドラインを元にしたトリビアネタのクイズゲームや、【今日の新聞掲載記事を元にした分析コラム】を掲載するなど、発展的な研究も行われている。学術的な面もあわせ、非常に興味深い。

サイト説明のページによると、このサイトは元々ワシントンDCにある、ニュースの歴史と意義などを啓蒙する博物館であるNewseumによるもの。「ニュースへのより深い造詣をもたらし、人々の生活のすべての面で重要な役割を果たしていることを再認識させる」ためのプロジェクトの一環であり、学術的な見地で運営されているものであって、商業的な意味合いはないのだという。

インターネット上での情報蓄積における利点の一つ「検索機能」はまだ未実装のようだが、近いうちに稼動するような表記もあるので期待できる。このような時間の経過と共にますます歴史的利用価値が高まるサイトは非常にありがたいし、もっと広範囲に喧伝されるべきだろう。

また、日本の新聞社からは(恐らくトップの概要的なものであっても)掲載され利用されうるのを嫌ってか一社以外参加していないのは残念な話。【47ニュース】で共同体を作って情報の集約と囲い込みと利益確保を推し量るのも良いが、もっと新聞やネットの存在意義や利用価値を高めるような、有意義な方向にも顔を向けてほしいものである。


■関連記事:
【新聞社ニュース集合体「47NEWS(よんななニュース)」をのぞいてみる】

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