【更新】「不使用」だけど不使用じゃない! 遺伝子組み換え原料表示のトリック

2007年01月30日 20:20

今やちまたでちょくちょく見かけるようになった「遺伝子組み換え原料」による食品たち。一方でそれに対する「つかみどころの無い不安感」からあえてそれらの食品を避けたり、原材料表記に「遺伝子組み換え原料は不使用」「遺伝子組み換えでない」という文字を見つけて安心している人も多いはず。ところが[産経新聞]などに掲載されているように、「不使用」と記載されていても「実は5%以内なら混入していても『不使用』と記載して問題ナシ」という事実を知っている人は少ないはず。ちゃんと法律に定めてある。

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これは【厚生省の「食品衛生法」における専門ページ】を見れば明らか。具体的には次のように記載されている。

含有量がごく少量な場合まで表示を義務づけることは現実的でなく、何らかの線引きが必要であるが、当面JAS法と同様の整理で、全原材料中重量が上位3品目以内で、かつ、食品中に占める重量が5%以上のものに限り義務表示とする。


つまり法的な義務としては、「全体の重量の5%以上」で「他の成分と比較して上位3品目以内」でなければ、いくら遺伝子組み換え原料を使っていても「使ってません」と書いてOKと国がお墨付きを与えていることになる。極端な例として

原料A……30%
原料B……30%
原料C……20%
原料D(遺伝子組み換え原料)……19%
その他……1%


という成分の食品があった場合、遺伝子組み換え原料を2割近く含んでいても「使っていません」と合法的に表記することが可能となる。

何てこった、と頭を抱えている人もいるのではないだろうか。しかもこれらのザル的な規制ですら適用される食品はごく一部(作物は大豆、トウモロコシ、菜種、ばれいしょ、綿実。加工食品は23種類プラスアルファ。さらに、しょう油や食用油、コークフレーク、マッシュポテトなどは「組換えDNA及びこれにより生成したたんぱく質が除去、分解されているもの」として対象から除外)。

輸入牛肉も遺伝子組み換え食品も
食べる・食べないは個人の自由。
けれども、
正しい選択が出来る正確な情報
は、きちんと開示して欲しいもの

元記事に記載されているアンケートのさらに元リリースが公開されていないので一部しか分からないが、2006年12月に20歳以上の女性1000人を対象にした調査では、この「5%含んでいても不使用という表記が使える」という事実を知らない人が95%もいたという。

一方、遺伝子組み換えに関する表示について豆腐メーカーの対応は、不使用表示を中止したのが18%、表示内容を変更したのが14%。残り68%は今後の中止や変更を検討しているとのこと。

先日の【不二家(2211)】の件だけでなく、食に対する安全性への感心は「期待を裏切る行為」によって日増しに高まりつつある。自分やその親族、知人が口にする食品がどのようなものなのか、じっくりと腰をすえて考えたい人も多いだろう。

また、輸入牛肉の問題でも似たような問題が持ち上がったが、極論として「遺伝子組み換え原料を使った食品を食べる、食べないは個人個人の自由」という答えに行き着くことだろう。ただ、「自由な選択を正しく一人一人ができるよう、正確な情報開示は最低限必要である」ことだけは間違いあるまい。

実は今件に絡み、少し前に関連資料を某所から取り寄せており、今手元にある。妙なものではなく、きちんとしたところによる、しっかりとした資料だ。しかし記事化するには少々時間がかかりそうなので(「株式市場雑感」にもあるようにここしばらく多忙なのだ)、もうしばらくお待ちいただきたい。

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