ネット証券各社、自動売買ソフトについての注意勧告

2007年01月22日 06:30

株式イメージ最近株式市場において、日経平均株価や一部銘柄でキリがいい値をつけたところで反転したり、区切りが良い株価で行き来をするなど、「不特定多数が同一の指針に基づいて売買しているのでは」と思われるような値動きをすることがある。投資心理学や決済上の事情などから自然にそのような結果が出る場合がほとんどだが、それとは別に一つの要因ではないかとされる件について、【松井証券】をはじめとする【ネット証券評議会】が注意勧告を行っている。それが「自動売買ソフトによる株式などの自動売買の仕組み」の利用である。

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「自動売買ソフト」とはソフトそれぞれの特徴個性による一定の法則に基づいた売り買い注文の判断を実施するというもの。それだけなら単なる「株価予想ソフト」に過ぎないのだが、「自動売買ソフト」ではこれに加えて「自動的にユーザーの証券口座を経由して売買を行う」。メーカー側の売り文句としては「パソコンが勝手に判断してお金を稼いでくれる」といったところだろうか。

これらのソフトの特徴を、例えば上記の松井証券の注意ページでは次のように説明している。

・数十万円程度と高額である場合が多い。
・当社との提携・協力関係等が一切ないにもかかわらず、当社のバナーを貼り付けるなど、提携関係等があるかのような表示を用いて勧誘を行っている。
・自動売買ソフトを使用することにより、あたかも容易に利益が得られるかのような誤解を生じさせる可能性のある表現を用いて販売している。
・開発者は自ら販売を行わず、多数の代理店を募り、代理店が販売を行っている。
・自動売買ソフトの販売が容易であることを装い、代理店を募集している。


まるでだましの販売とねずみ講を足したような特徴である。これらの「自動売買ソフト」の中身が本当にそのソフトの売り文句通りに計算され、あるいはデータに基づいて売買をしているのかはどうかはまったく分からない。また、緻密な計算や膨大なデータを元に売り買いタイミングを算出していたとしても、それが利益を生み出す判断となるかどうかは、誰にも予想がつかない。多くは競馬の的中ソフトと良い勝負だろう。

第一そのソフトの使用で本当に継続的に利益が得られるのなら、その会社が継続的に自分で使い、あきれ返るほどまで儲ければよいだけの話(かつて大儲けしたのちに破綻したLTCMはそれに近いことをしていた)。「他人に還元したい」のなら、そうやって儲けた金を直接配れば良いのだから。

このような自動販売ソフトの使用について、松井証券などネット証券評議会では次のように注意を呼びかけている。

・自動売買ソフトを使用したことにより生じた損害について、当社は一切の責任を負わないこと。
・自動売買ソフトを使用した場合の投資成績等について、当社が何らの保証をしているものではないこと。
・当社サイトの仕様変更への対応が保証されているものではないため、当社サイトの仕様変更があった場合には、自動売買ソフトが動作しなくなる、あるいは誤発注の危険性があること。
・当社サイトに短時間で大量のアクセスを行うことで当社のサーバーに過度の負荷が掛かる場合には、取引を制限する可能性があること。


要は「うちのサイトを使っているかもしれないけど、うちとは一切関係ないから責任も負わない。誤発注の可能性もあるが知らないよ? デイトレやスキャルピング(数秒から数分での超短期売買取引)をこのソフト経由で大量にアクセスして行い、サーバーに負荷をかけすぎるのなら取引そのものを制限しますよ」ということである。

自動売買ソフトの大部分は自らを「キャッシュディスペンサー」になぞらえて、不労収入が永続的に得られるようなうたい文句で売り込んでいる。しかし世の中そんな甘い話はない。第一皆が同じシステムに従い売買をしたら、誰も相手がいなくなり売買が成立しなくなってしまう。そうでなくとも同じ傾向に大勢が向かうのなら、そのパターンは通用しなくなる。

これらの自動売買ソフトを使うかどうかも要は「自己責任」ではある。しかし、ソフトにその「自己責任」の重要部分である「投資判断」を丸投げしてしまっては、あとで何かあっても文句のいいようがない。一任勘定を請けた投資顧問会社ではないのだから、アドバイザー役として使うのならともかく、何もかもお任せというのは避けた方がよいだろう。「世の中そんなに甘いものではない」のだから。

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