同じ病気なら薬をいくら使っても入院医療費は同じ!? 入院医療費、1回あたり定額制へ厚生労働省検討

2007年01月10日 20:30

時節イメージ【NIKKEI NeT】は1月9日、【厚生労働省】が入院医療を対象に、病気やけがの種類が同じなら「検査や投薬の数量や日数にかかわらず」医療費を入院一回あたりの定額とする新制度を導入する検討に入ったと報じた。過剰診療を減らして医療の効率化をうながし、欧米よりも長い入院日数を短縮する狙いがあるという。

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現在の医療費は入院・外来共に、投薬や検査など、診療行為ごとに決められた報酬単価を累積して算定する出来高払いが原則。通院や入院した後に受け取る請求書・領収書などに、さまざまな項目やポイントが記載されているのを覚えている人も多いだろう。このシステムでは薬の量が増えたり高額な薬を使ったり、診療期間が長いなど、診療行為をすればするほど医療機関が受け取る報酬が増えるため、必要性の低い検査をするなど過剰診療になりやすい面があると指摘。

今回の検討では定額制を2008年4月の診療報酬改定で導入し、過剰診療を少なくするもくろみだという。

今回の報道ではあくまでも「入院医療」のみで、通院医療の場合は対象外のように受け取れる。通院医療の場合は「問診」「処方せんの処方」「検査」が主な診療行為となるが、これらまで定額制となってしまうと「検査してもしなくても同じ料金ならしなくていいや」」ということで検査をすることが避けられるようになってしまう可能性がある。このような事態は避けられるようで、安心といえば安心。

しかし入院医療にしても、たとえ海外と比べて入院日数が長いからとしても、いくら通院日数が長かろうが短かろうが定額に、としてしまうと、似たように「効率的な病院運営をするために、薬も少なめで、入院期間も短く、本当ならもっと安静にさせておかねばならないけど、どのみち支払いは同じだから退院させていいや」という考えが病院側に働くようにならないだろうか。病気やけがの種類は同じでも、人によって症状や治り方は多種多様(だからこそ【オーダーメイド医療プロジェクト】などというものも行われている)。

それを金太郎飴のように画一化してしまっては、「得られるメリット」よりも「発生するデメリット」の方が多くなるような気がしてならないのだが、どうだろうか。「海外と比べて」病院での入院過保護が問題なら、なぜ海外では退院までの日数が短いのか(退院までの判断基準の問題、退院してからの家族や地域のサポート体制の問題など)を考察した上で検討すべきだろう。

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