証券取引法政令改正、TOBルールなどが厳格化へ

2006年12月06日 12:30

株式イメージ【Mainichi INTERACTIVE】によるとTOB(株式公開買い付け)に関するルールや大量保有報告制度の厳格化を図る、証券取引法の政令改正が12月5日閣議決定され、13日から施行されることが明らかになった。今年市場を大きく騒がせたこれらの案件について、ようやくルールとしてのシステム化が施されることになる。

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記事によると政令改正の中身は大きく分けて2つ。一つはTOBについて。上場企業の株式を市場外取引で三分の一を超えて取得する場合はTOBの宣言などが義務付けられている。が、先の村上ファンドの場合は市場内外で株式を買い集め、TOBによることなしで出資比率5割近くの大株主になっていた。これは「市場外取引でも三分の一を超えなければ良い」というルールの裏をついた手法だった。

改正される政令では、「三か月以内に10%を超える株式を取得し、うち5%超が市場外取引、さらに三分の一を超える取得を目指す買収者にはTOBを義務付ける」としている。「自分は三分の一を超えることを目指してはない」と屁理屈をこねる可能性も否定できないが、実際に三分の一を超えた取得をした場合にその意図を追及されることだろう。

またTOBで三分の二を取得し、経営権を握り、その後に安価で残り株式を買収する「2段階買収」は、残された株主が手持ちの株式を安く買い叩かれてしまうことから、特に親会社が子会社を吸収合併、上場廃止に至る際に個人投資家からの不平不満が相次いでいた。この点について政令では、「三分の二以上の買い取りを目指す場合」は、応募株式を全部買い取るように義務付けた。これで「高値で買い集めて経営権を確保し、残りは高値の分を取り戻すかのように安値で買い叩く」ということは(最初の高値買い付けの際に売り抜けてしまえばよいのだから)出来なくなる。

また、ファンド優遇と批判の強かった大量保有報告制度もようやく来年1月1日から改正される。通常は5%超の株式を取得すると5営業日以内に財務局へ大量保有報告書を提出する義務があるが、ファンドが事業支配目的以外で取得した場合には、10%以内なら三か月に一度の報告でよいという特例がある。村上ファンドの件ではこの特例が利用され、買収を受ける側の企業や他の投資家の対応が遅れたという事例があった。これは「市場に正しい情報が開示されない」などの批判があり、二週間に一度の期限に短縮されることになった。

村上ファンドやライブドアで次々と「法の抜け道」が指摘され、健全な市場形成のためにはその穴を防ぐことが求められていたわけだが、ようやくこの時期になってその穴が埋まることになった。抜け穴を「利用」した当本人らは上場廃止や逮捕、解散という、控えめに見ても良くない結果に身を沈めている。政令改正と彼らの現状を見るにつけ、「賢い」と「ずる賢い」は似て非なるものなのだろうな、と思わざるを得ない。「神は天にいまし すべて世は事もなし」ということだろうか。

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