公取委、楽天(4755)やヤフー(4689)などのネット商店街の規約に独禁法抵触の可能性を指摘

2006年12月28日 08:15

【公正取引委員会】は12月27日、電子商店街などの消費者向けeコマースに関する実態調査の概要を発表し、その中で、[楽天(4755)]や【ヤフー(4689)】などがネット上で展開している電子商店街の出店規約などに独占禁止法に抵触する可能性がある項目があったことを明らかにした(電子商店街等の消費者向けeコマースにおける取引実態に関する調査報告書、PDF)。公正取引委員会ではこの結果を公開すると共に関係者に提示し、自主的な対応を求めている。

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この調査結果は2006年の1年間をかけて行ったアンケートで、電子商店街の運営事業社20社・出店業者125社からの回答を元に分析・作成された。報告書ではまず現状において、

・我が国の消費者向けeコマースの市場規模:1兆3210 億円(2005年度)
・電子商店街の市場規模:5500 億円(同)
・出店事業者にとっての利点:販売チャネルの拡大、売上高の増加など
・消費者にとっての魅力:品揃えの多さ、価格の安さなど
・電子商店街における取引は運営事業者のうち上位3社(楽天・ヤフー・【DeNa(2432)】)に集中。3社だけで9割を超える
・上位3社の中には出店事業者との取引において優位に立つ場合がある事業者がある


などの概要を述べた上で、特に独占禁止法に関連する事項をチェック。特に以下の点において、この3社が独占禁止法に抵触する可能性があることを指摘した。

1:ダイレクトメールなどの営業活動の制限
・出展者が商店街から退店したあとにそのデータを使えないように定めている(拘束条件付取引)
2:優越的地位の濫用
・手数料率を運営事業者側が一方的に変更できる
・購入者に「特典」として与えるポイントの費用を、ポイントが使われたかどうかに関わらず出店者が全額負担する決まりを設けている
・運営事業者の持つカード決済システムの利用を出店者に義務付けている
3:再販売価格の拘束
・定価販売の遵守や値引き販売の禁止
・ネット販売の禁止や高い仕入れ値の設定(拘束条件付取引、差別対価)


これらのポイントについてはいずれも以前から、主に出店者から度重なり指摘されてきたことではあるが、今回公取委という取り締まる側の公的機関から改めて文面の形で指摘されたことになり、その意味はきわめて大きいものと考えられる。公取委側でも「取引慣行を点検し、競争制限的な慣行を見直すなど、消費者向けeコマース全般の適正化を図ることが必要である」とした上で、「消費者向けeコマースにおける取引慣行全般について公正かつ自由な競争の促進の観点から,今後とも引き続きその動向を注視していくこととする」とし、今後も引き続き調査と注意勧告を行うことを示唆している。

なお今回公正取引委員会からこのような指摘があったことに対し、楽天とヤフーでは

・楽天
「公取委からは、直ちに独禁法に抵触するものではないと聞いており、今後もこれまで通り自主的に規約見直しを進める」
・ヤフー
「指摘された問題点は当社の規約にはない」


とし、現状から何ら変更をすることは無いとしている。公取委の指摘が「仮に」これら2社にも該当するものであり、公取委側が重要視しているものだとすれば、両社が対応をしない限り今後再度の「勧告」や次なるステップも想定されるだろう。それを見越した上での今回の「勧告」であっただけに、今後の両社及び公取委の動向が気になるところではある。

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