ゲーム総合情報誌「電撃王」、ゲーム機三者鼎立時代にあわせ1号だけ復活

2006年12月02日 19:30

「電撃王」イメージ先に【任天堂(7974)、新世代ゲーム機「Wii」本日12月2日発売・各地で長蛇の列~先頭は「昨夜9時から並んでました」トイザらス練馬店レポート】でもお伝えしたように、本日12月2日に[任天堂(7974)]から新世代家庭用ゲーム機『Wii』が発売され、めでたくプレイステーション3やXbox360とあわせ、「据え置き型家庭用ゲーム機三者鼎立時代」が幕を開けたことになる。このタイミングにあわせる形で、メディアワークスからかつて発売されていたゲーム業界情報総合誌「電撃王」が1号だけ復活することとなった。12月1日発売、590円。

スポンサードリンク

「電撃王」イメージ「電撃王」はかつて角川書店の内紛で独立してメディアワークスを立ち上げた、角川のパソコン誌「コンプティーク」の編集スタッフらによって1993年に創刊された、一連の「電撃」シリーズのパソコンゲーム部門での月刊誌。パソコンゲームがメインではあるが、ゲーム業界全体も取り扱う、総合誌としての位置づけを占めていた。2003年にはデンゲキゲームズへと書名を変えてリニューアルしたが、2004年1月に休刊に追いやられている。

今回1号限りの、ほぼ3年ぶりの復活となる「電撃王」を入手して中身を見てみたのだが、内容はやはり「三者鼎立時代」の家庭用ゲーム機に関する記事がメイン。【公式ページ】にも概要が記されているが、業界のキーマンへのインタビュー記事がメインコンテンツとなっている。取材先はなみいる主要ソフトメーカーのトップばかりで、そのメーカーの今後のソフト開発における方針がかいまみれる。

また、(マイクロソフトのビル・ゲイツ氏へのインタビューはさすがに難しかったのか)、SCEIの久夛良木健氏と任天堂の岩田聡氏双方にゲーム論について語ってもらい、それを比較するという興味深い特集も組まれている。

「電撃ゲーム白書」と称し、電撃独自のリサーチデータを小冊子にまとめて付録として添付しているのも注目に値する。これは後々まで役に立ちそうだ。

かつての電撃王は特に定期発刊時の後半にいたると、全般的にスタイリッシュさを求めようとするあまり、中途半端な「大人びた雰囲気」がぎこちなさを見せ、読み応えに欠ける傾向が見て取れた。がんばっているのは分かるのだけど、あらゆる方面で消化不良を起こしているような感じだ。それぞれの要素の目指しているところは悪くなかっただけに、消化しきれずに休刊してしまったのは残念でならなかった。

しかし今回1号限りで復活した「電撃王」では、少なくとも以前の「ぎこちなさ」はかなり薄れているように見える。キヨスクなどで見かける、コーティング用紙に印刷されている週刊ビジネス誌や「●×Walker」などに代表されるサブカル系の情報誌に遜色ない、大人びたデザインや文面で構成されていて、好感触を受ける。

第一特集記事の中表紙。ゲーム情報誌とは思えない、ビジネス誌のようなデザイン、レイアウトに、ちょっと驚かされる
第一特集記事の中表紙。ゲーム情報誌とは思えない、ビジネス誌のようなデザイン、レイアウトに、ちょっと驚かされる

たとえば第一特集記事の中表紙。ゲーム情報誌とは思えない、ビジネス誌のようなデザイン、レイアウトに、ちょっと驚かされる。他のページも明るめの色で統一された配色で、やはりイメージ的に週刊ビジネス誌のそれに近い。正直、これなら電車の中で読んでも他人の目を気にすることはなさそうだ。

電撃王が休刊となった2004年当時と比べると、特に携帯ゲーム機の普及でゲーム……というよりゲームを取り巻くさまざまなソフト・ハードの環境も変わりつつある。特にDSの普及で、ゲームハードに向ける世間の目もずいぶんと「やさしく」なった。これも「電撃王」の表紙にあるように、ゲームが単なるゲームとしてではなく、「ゲーム」(太文字表記で二重囲い、つまり今までの「ゲーム」のコンセプトを包括する、もっと周囲に広まったさまざまなエンターテインメントやその他の分野までを含めた、新しい考え方としての広域的な定義を持たせたもの。「漫画」を「マンガ」と称する際の考えに似ている)の地位を獲得しようとしつつあるからなのだろうか。

事前宣伝がほとんどなされていなかったため、正直この「電撃王」がどこまでセールスを伸ばせるかは未知数としかいいようがない。ただ、このコンセプトを貫き通せるのなら、大人向け「ゲーム」業界誌として、結構良いポジションを築けるのではないだろうかと思うのだが、どうだろう。

(C)Media Works 2006

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ