「『ひよ子』の形はありふれている」、立体商標認められず

2006年11月30日 08:00

『ひよ子』イメージ【NIKKEi NeT】の報道によると【福岡市の老舗菓子会社・ひよ子】が販売する鳥形のおまんじゅう『ひよ子』が取得していた立体商標登録を、同じく鳥形の菓子を製造する【ニ鶴堂】が取り消すよう求めた訴訟の判決が11月29日【知的財産高等裁判所】で開かれた。中野哲弘裁判長は訴えに対し「類似した鳥形の菓子は全国に多数存在し、ありふれている。鳥形のまんじゅうはひよ子であると全国的に周知されていない」とし、立体商標を認めた【特許庁】の審査を取り消す判決を言い渡した。

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『ひよ子』イメージ商標法は形そのものに特殊性がない一般的なもの(今回の場合はひよこ型・鳥形)、その形状を長期間継続的、独占的に使用、宣伝してきた場合、例外的に立体商標の登録を認めている。つまり普遍的・一般的なものでも「あれはあの会社のあの商品だ」ということが世間に広く認知されていれば、立体商標が認められることになる。

判決では「周知されているかどうかは(九州北部だけでなく)日本全土を基準に判断すべきである」とし、今回の「ひよ子」が九州北部や関東が中心で全国には展開していないこと、鳥形の菓子を製造する業者が全国には23社もあることを指摘した上で、立体商標登録を取り消す判断を示した。言い換えれば「九州北部や関東以外でひよ子の菓子『ひよ子』を見せても、それがひよ子社のものであるか、他社のものであるのかは分からない場合が多い。つまり周知されていないから商標は認められない」ということ。この判決により、継続使用を理由とする立体商標の登録には高いハードルが設けられたことになる。

そもそも「ひよ子社の『ひよ子』」は福岡銘菓ではあったが、関東地域での販売促進のために別会社の「東京ひよ子」を設立。東京での販売を開始し、それが東北新幹線の開業と共に東北方面へも伝えられるようになり、「東京銘菓」にもなった。東京駅の内部にあるお土産コーナーにも、ハトサブレや人形焼、東京ばな奈などと共に「ひよ子」が売られているのが目に留まる。

今回の判決により、事実上誰でも自由に立体商標にとらわれることなく「ひよ子」型のおまんじゅうを作ることが出来るようになる。「ひよ子」という名詞がそもそも一般名詞ということもあるが、今後同名の、形状が似た「ひよ子」が山のように登場することだろう。危惧すべきなのは国外内で粗悪品が登場する可能性。近隣諸国でパッケージまでコピーをしたとしか思えないニセ「ひよ子」が発売している状況を見るに、容易に想像がつく。

ひよ子社の「ひよ子」は、元々炭鉱地域の飯塚のお菓子(力仕事の炭鉱作業の後には甘い食べ物が好まれることから、あまいおまんじゅうの「ひよ子」が好かれた)として愛されていた。生まれはなんと大正元年(【「ひよ子」の歴史】)。

法的に守られるすべが無くなったひよ子社の「ひよ子」。今後は「元祖」や「本家」、「ルーツ」などを銘打って、その歴史の重みをアピールして対抗するしかない……のだろうか。


(最終更新:2013/09/02)

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