朝日新聞、政府が「海賊版のダウンロードを違法とする」と著作権法改正を検討していると報ず

2006年11月25日 10:00

【asahi.com】は11月24日、政府の【知的財産戦略本部】が、音楽や映像を違法コピーした「海賊版」をネット上からダウンロードすることを全面的に禁止するように著作権法の改正に着手すると報じた。罰則も設けて2008年の通常国会に提出予定の改正案に盛り込むという。アニメや漫画の権利保護を強化し、コンテンツ産業の育成をうながす狙いがあるという。

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現行著作権法では、著作権者の許可なしに複製したコンテンツをネット上にアップロードすることは違法だが、そのコピーをダウンロードしても、「個人で利用する限り」は著作権の侵害にはならない。入手する行為がネット上で広まっても、それを規制する手立ては「配信側を閉める」しか手が無いため、広まるのを防ぐのは難しい。

知財財産戦略本部は、現状を放置すれば正規のコンテンツの買い手が減り、正当な利益を得られない制作者が創作意欲を失いかねないと判断、海賊版のダウンロードが違法であることを著作権法で明確にすることでその流通を減らし、コンテンツ産業を成長分野に育てたいとしている。要は「流すだけでなく手にした段階で違法だよ」というルールにしようというわけだ。

タイトルなどで「報ず」としているのは、現在知的財産戦略本部上のサイトで(まだ開催されていないため)27日の議事録が掲載されておらず、公式な資料が存在しないため。今件については議事録掲載後、詳細が明らかになることだろう(し改めて報じる予定)。

とはいえ、基本的にインターネット上の(デジタル)情報は正規版と海賊版で変わるところがなく、また、ネット上のさまざまな仕組みは複製されることが前提となっている。たとえばブラウザーで色々なウェブサイトを閲覧する場合、サーバ上に納められているデータを通信によってコピーした上で自分のパソコンに複製データを転送し、それを展開して表示するという仕組みをとっている。つまりネットを使っている誰もがオリジナルではなく複製・コピーを利用している。

このような仕組みの中で、「データをダウンロードしただけでお縄になる」というルールを作るのは見当違いな話に他ならない。このようなルールが仮に成立してしまうと、例えば「正規版」と偽った「海賊版」なるデータを不特定多数の人にダウンロードさせて犯罪者にしてしまうという「だましサイト」や、果ては「海賊版」のグラフィックが表示されるURLをだましリンクとして用意して誘導し、見た人すべてが著作権法違反の容疑がかけられる立場になってしまうといった、わけの分からない状態になる(何しろブラウザで閲覧する=データのコピーなのだから)。

株式市場において「変な勢力に経営権を握られたくなかったら、株式の上場自体をしなければいい」という言葉がある。それと同様に、デジタルの情報の海賊版を根絶したいのなら、本当は配布そのものを行わないという方法しか採る手はない。ただ、海賊版を減らす手法は色々と試行錯誤を繰り返しながら立案されているし、今後もさらに新たな技術が生まれる可能性は高い。

また、RMTがらみの一件からも明らかなように、ネット上のデジタル情報の財産権や著作権が今の定義でよいのかどうかという、根本的な問題もある。著作権の小手先変更でことが片付くような問題ではないだろう。

ともあれ、27日の会議終了後における議事録の掲載を待ち望みたいところだ。

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