ハードで高速にウィルスチェックができるシステムを産業技術総合研究所が開発

2006年11月23日 10:00

FPGAイメージ【独立行政法人・産業技術総合研究所】は11月22日、書き換え可能なハードウェア(FPGA)を用いることで、高速にウィルスチェックを行うシステムの開発に成功したと発表した(【発表ページ】)。ソフトウェアレベルでチェックをする場合に比べて処理速度が速く、パソコン本体の処理に負担をかけないという利点があるとのこと。

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リリースによると、このシステムの特徴は3つ。

1)対象パソコンとネットワークの中間に配する。パソコンにウィルスが侵入する前に除去できる。
2)ハードウェアでチェックするので高速化(10倍)が可能。
3)新しいウィルスへの対応は全自動。ユーザーの操作が不要。


リリースによる、ハードウェアウィルスチェックシステムの概念図
リリースによる、ハードウェアウィルスチェックシステムの概念図

リリースなどによるとウィルス対策の重要度は年々高まるのに対し、対策ソフトの導入という手法では「パソコン本体に負担がかかる」「時間がかかる」「チェック前に感染する可能性がある」「初心者には設定取り扱いが難しい場合がある」「情報家電などではソフトのインストールができない」という弱点がある。今回開発されたシステムでは、ハードウェアレベルでシャットダウンできるので、それらの問題点を克服できるとのこと。

「ハードでチェックするのなら、ウィルス対策データを新しいものにかえるにはハードそのものを変えねばならないのでは?」という疑問がある。これについてはいつでも機能を変えることができる「FPGA(Field Programmable Gate Array)」というLSIを採用し、対応するとのこと。

FPGAを用いた今システムの構成
FPGAを用いた今システムの構成

産業技術総合研究所では今システムについて、3年から5年以内の実用化を目指すという。特に携帯電話や情報家電など、これまで防衛手段の無かったネット関連機器に対するセキュリティ機器として注目したいとしている。

FPGAそのものがアタックを受けたらどうなるのか、という疑問は無くはないが、「ソフトだと守る対象そのものに負荷をかけるから、その手前で防いでしまえ」「ソフトだと時間がかかるからハードで防げ」という考えはシンプルであるものの効果的な手法といえる。また、携帯電話や情報家電など、将来危険が生じるであろう分野にも対処しうる手段として気になるところだ。

コストパフォーマンスもあわせ、果たしてどの程度の実用性があるのか。今後の開発状況に期待したいところといえよう。

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