【更新】難病の子どもをゲームがサポート、ゲームを通じて病気と向き合い、知識を得、力を与えていく

2006年11月11日 08:00

ベンズゲーム(Ben's Game)イメージ[産経新聞]に、難病を抱えて悩んでいる子どもたちにゲームを通じ、病気の知識や病気との付き合い方を学べるオンラインゲームに関する記事が掲載されていた。興味深い話であるのでここにピックアップをしてみよう。

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記事には二つの具体的事例が紹介されていた。まずは難病の児童を支援する【スターライト・スターブライト児童基金(starlight starbright children's foundation)】。こちらでは今夏、がん、嚢胞(のうほう)性線維症、赤血球貧血症など8つの病気に関するブラウザ上で遊べるゲームサイトを開設した(【該当ページ】)。質問に答えながら基礎的な症状、痛みへの対処法、治療法、大人に痛みをどう伝えるべきかなどの知識を身につけられる。子どもが好きなゲームを通じて、病気への恐怖心や心の混乱を鎮めるのが目的だという。

スターライト・スターブライト児童基金のブラウザゲーム
スターライト・スターブライト児童基金のブラウザゲーム

一方、病気と闘う児童の夢をかなえる【メーク・ア・ウイッシュ基金】【ベンズゲーム(Ben's Game)】は、主人公がスケボーに乗りがん細胞を打ち倒していくゲーム。ゲームの中でがんをやっつけることで、自分自身の体内に潜む病原菌も同じように消滅させていくんだと勇気付けさせる意味合いがある。すでに9か国語で提供されている。

ベンズゲーム(Ben's Game)
ベンズゲーム(Ben's Game)
このゲームで自分の病気について
学んで欲しい。
そしてあきらめずにがんばって欲しい。
さもなくば何も変わらないのだから。
……Ben Duskin
(Ben's Game作者)

この「ベンズゲーム」は以前NTV系列の番組「世界まる見え!テレビ特捜部」などで紹介されていたので御存知の人も多いと思うが、Ben Duskinというアメリカのがんを発病した少年が、自分の病気について『パックマン』を例に説明されたことをきっかけに自ら作り上げたゲーム。プレイヤーはスケボーにまたがり、(一般のゲームなら弾薬に相当する)がんに効果があるとされている薬を集め、敵であるがん細胞や、がんの副作用を表すさまざまな怪物と立ち向かうことになる。Benいわく「このゲームで、薬がどんな効用を示しているのか、そして体にどんな手助けをしているのかを学んで欲しい。そして何よりも自分の病気について色々なことを学び、あきらめずにがんばって欲しい。さもなくば何も変わらないのだから」とコメントしている(【参照:BBC、英語】)。

元記事の指摘にもあるように、子どもたちはパンフレットや難しい文献を読むよりずっと親近感を覚え、積極的にゲームに取り組んでくれる。そして病気に対する知識を得、勇気も手に入れることができる。現在児童向けの健康教育に関するゲームサイトは100を超えているという。

このようなゲームも俗にいう「シリアスゲーム」の一種ではあるが、他のシリアスゲーム同様に、日本国内では市民権を得ていないのが実情だ。実際上記2ゲームとも、日本の支部ではサポートしていない。ただ今後は、日本でも似たようなゲームの展開が模索されるだろうし、単なるゲーム機としてではなく総合デジタルエンタテインメントモバイル機としての位置づけを強くしつつある、任天堂のDSシリーズなどで同様の主旨を持ったゲームも登場することだろう。

ゲームを毛嫌いする人もいるが、子どもをはじめ多くの人がゲームに興味を持ち、大好きなのは否定できない。ならば単に手を振り払うのではなく、今件のように「楽しく取り込み、有効に使おう」という考え方をすることこそが賢い選択だといえよう。

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