【更新】「くぼみ」で耐久度がアップ、陶磁器の学校給食用食器に光明

2006年11月06日 12:30

磁器食器イメージ[YOMIURI ONLINE]が報じたところによると、長野県波佐見町の【県窯業技術センター】が、同町で生産されている学校給食用磁器食器の研究で、磁器食器の衝撃への強度を増す方法を発見した。特定の法則に従いくぼみを設けるという方法で、割れやすいといわれている磁器食器の弱点を克服する手法として注目を集めている。

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パソコンによる解析
パソコンによる解析
縁の部分に力がかかったときの 変形と応力分布
(色の濃い部分が強い応力発生箇所)

記事によると技術センターでは直径16センチ・深さ3センチで重さ207グラムの器を使って実験したところ、器の縁から5ミリ内側に、幅5ミリ・深さ0.5ミリの「くぼみ」を設けることで、強度は最大で約30%も上昇。さらにくぼみの分だけ重量が4グラムも減少したという。さっそくこの方式を用いた「縁の内側をくぼませた給食用食器」は5月から波佐見町のメーカーが生産を開始し、学校から注文があれば来年度から使用されることになる。

給食食器で用いられていたプラスチックス製容器は環境ホルモンの問題から敬遠する学校が増え、その代替製品として磁器食器が注目されている。【文部科学省】の調査によると、1990年度は3%にしか過ぎなかった磁器食器利用率は2003年度には25%にまで増加。その一方、「割れやすくて危険」という声もあるだけに、今回の研究結果には各方面から熱い視線が注がれている。

くぼみイメージ【長崎県窯業技術センターの研究結果発表ページ】によると、現状の磁器食器は運搬中の落下だけでなく食器を洗うときの衝撃で割れるなどして、年間10%から20%もの破損が生じている。そこでパソコンを使って(!)解析したところ、今回の形状で磁器食器を作ることにより、割れにくくなることが確認できたという。

デザインとしてくぼみを設けた場合、持ちやすいという利点が生じるものの洗いにくくなるという弱点が生じる。今回の「くぼみ」は図版を見る限り、「くぼみ」というよりは「へこみ」という程度のものであり、洗浄の際に洗えなくなる場所が生じることもなさそうだ。加工そのものに従来品と比べて多少の手間がかかるかもしれないが、原材料がむしろ減り、別のものを足さずに強度が3割も増すのだからメリットはきわめて大きい。

今後実際に製作した磁器食器による追実証実験も必要になるだろう。が、この「くぼみ」のスタイルが多くの磁器食器に採用されることに期待したいものだ。

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