【更新】対弾道弾用パトリオット対空ミサイルの首都圏配備、防衛庁がアメリカに要請との報道

2006年11月04日 18:00

パトリオットイメージ[YOMIURI ONLINE]によると、【防衛庁】は10月アメリカに対し地対空誘導弾パトリオットミサイル3型(PAC3)の首都圏配備を要請していたことが明らかになった。防衛庁幹部が明らかにしたという。

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すでに【地対空ミサイルパトリオット最新版、米軍が首都圏配備へ】でも報じたように、在日米軍がミサイル防衛構想(MD)の中核をなすPAC3を、首都圏のアメリカ軍基地に配備する検討を始めたことが報じられている。今回の「防衛庁要請」が在日米軍の検討開始のきっかけを与えたものなのか、それとも個別に要請をしたのかは分からない。とはいえ、日本海周辺の状況をかんがみて、関係各国がさまざまな可能性について手を打ちつつあるようすがうかがえる。

パトリオットミサイルの最新版PAC3はロッキード・マーチン社開発の迎撃ミサイルで、先日沖縄のアメリカ空軍嘉手納基地などに先日配備された。敵性ミサイルを撃ち落とす対空ミサイルは、細長い羊かんのようなものを二つ並べて斜め上に掲げたような外見をしたミサイルケースの中におさめられていて、レーダー車によるレーダーや電源車、アンテナ車など各種運用システムと連携して作動する([ロッキードマーチン社の解説ファイル、PDF・英語])。かつて湾岸戦争時にイラク軍によるスカッド・ミサイルを迎撃したことで有名になった。防衛庁でもPAC3の1基目を今年度末までに埼玉県の入間基地に配備する予定。

これに関連し、久間防衛長官は11月2日の衆院安全保障委員会で、「(防衛庁としては嘉手納基地に続き)首都圏の米軍施設にも配備してもらいたいとの希望もある」と述べ、米側の追加配備に期待を示したという。

すでに多数配備されているPAC2などの現行型パトリオットミサイルや、イージス艦搭載のスタンダード・ミサイル3でも弾道弾は迎撃可能だが、専門型ではないため確実性に欠けるところがある。弾道弾迎撃に半ば特化したPAC3の配備は切に望まれるところだろう。

とはいえPAC3の有効射程は15キロ前後といわれている。日本全土を守りきるとしたら、単純計算で37万7835平方キロを15×15×3.14=706.5で割って、535基ものPAC3が必要になる(あくまでも面積比率による計算)。それこそ「一町一パトリオット計画」でも発動してすべての市町村にPAC3を配備してハリネズミ状態にしなければならないが、そんな話は妄想レベルの内容でしかない。

孫子の兵法でも語られているように、実際に戦わないことが最善にして最良の戦略には違いない。とはいえ、相手に話が通じない、まるで宇宙人を目の前に折衝をしているような状況では対処も難しい。過去の偉人の考え方が通用する相手なら、どれほど平穏無事な世界になるのだろうかと考えつつこのようなニュースを報じると、ため息も出てしまうものだ。

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