中国にNHKの360番組を「無償」提供

2006年11月09日 07:30

時節イメージ【外務省】は11月7日、日本政府は中華人民共和国政府に対し、NHKの「プロジェクトX」などドキュメンタリー番組及び教育番組360番組に関する放映権を中国に無償提供することで合意し、文章に調印したと発表した(【発表リリース】)。

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リリースによれば中国の教育テレビ局では「年々高まる海外番組に対する視聴者の需要に応え、外国語講座や、外国の科学技術・文化を紹介する番組の拡充に前向きであるが、日本関連の優良なソフト不足から、日本に関心を寄せる視聴者のニーズに応えることができていない」ため、中国政府から日本政府に対し、一般文化無償資金協力を要請してきたというもの。今回の調印はこれに応えたものとなっている。総額は3540万円。

360番組の放映権が3540万円しかしないのか、という疑問もある。それよりも「他国に多額の資金援助をしたり軍事援助が出来、果ては衛星を飛ばせるような余力のある国が、無償援助を求め、さらにそれに日本側が応じるというのはどういうことなのか」という疑問は否定できまい。

例えば【イラクへのテレビ番組「おしん」の提供】のような状況なら無償で積極的に配給すべきだろう。経済的状況から見るに無償で提供すべきものだし、日本に多大なる貢献をもたらすはずである。一方中国の場合は、【北京サミット】などからも分かるように、国家財政のアンバランスさで生じた不足金をいわば「たかり」、それに応じるだけの姿勢を日本側が見せているというのは、問題で無いといえないはずはない。

さらに、「日本国内では受信料を徴収し、無料配信アーカイブ化も行わない」コンテンツを、他国には無料で配布することになる。「日本国内では有料、しかも受信料絡みで裁判沙汰にまで発展しているのに、それを原資として作られたコンテンツは他国にタダで差し上げる」という考えもいかがなものだろうか。まずは日本国内での無料アーカイブ化が先だろう。

「国の方針だから」「外交戦略として」とNHKは主張するかもしれない。だがこのようなことを繰り返すのでは、ダブルスタンダードと受け取られかねないし、受信料を支払う必要など無い、と意見する視聴者が増えても仕方ないことだろう。

マキャベリは『君主論』でこう述べた。「隣国を援助する国は滅びる」と。中国に流れたこれらの番組が、しばらく後に中国側から「無料アーカイブ」としてデジタル化されてあちこちに配布されたり、「中国による援助」として第三国に流れたとしても、それは自業自得というものだ。誰も文句は言えまい。

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