【更新】アメリカで使い捨てビデオが人気、YouTubeなどの動画投稿サイトが拍車

2006年10月19日 12:30

The Point & Shoot Video Camcorderイメージ[産経新聞]によると、アメリカで発売された低価格のビデオカメラ「The Point & Shoot Video Camcorder」が人気を呼んでいるという。[ビュア・デジタル(Pure Digital)]社が発売したもので、使い捨てタイプは30ドル(約3500円)から手に入る。繰り返し使えるタイプでも130ドル(約15500円)と格安で、ネット上動画サービスの人気もあいまって、アメリカにおける「ビデオの役割」を根本的に変えてしまう可能性を秘めているとのこと。

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記事によればこの「The Point & Shoot Video Camcorder」、繰り返し使えるタイプはパソコンに接続して画像を取り込むというごく普通のビデオカメラと同じだが、使い捨ての場合は撮影を終えた後に小売店に持っていくことで、画像をDVDに焼いてくれるシステムを採用している。電気店などで販売されているビデオカメラと異なり、使い捨てカメラと同様にコンビニや量販店でも販売されているのが特徴。

「The Point & Shoot Video Camcorder」紹介ページ
「The Point & Shoot Video Camcorder」紹介ページ。簡単に撮ってDVDに焼いてもらってパソコンやテレビで見ちゃおうという流れが説明されている

すでに御存知のように動画投稿サイト【YouTube】をはじめとする投稿タイプの動画サイトが自己表現の場として人気を集め、それがさらに広告市場の可能性も秘めていることから、一般ユーザーだけでなく報道媒体からも注目されている。

ビュア・デジタル社では10月16日には、クリック一回でネットにアップロードできる機能を加えた新機種を発売しており、ますます動画投稿サイトとの連動性を絡めながらこの機種の「アメリカでの」人気は高まりそうだ。デジカメの普及は「写真を撮る」というライフスタイルに劇的な変化を与え、不特定多数の他人に披露するという文化が汎用化したが、今ハードが普及すれば動画についても同様の現象が起きるかもしれない。

さて日本についてはどうだろう。日本では「DVDに焼く」という流通網が存在しないのでこのままでは使い捨てタイプは使用できない。通常のデジカメプリントサービスを行う写真屋ならば容易に可能だろうが、ビジネスとして成り立つか難しい。そもそも日本では携帯電話の機能が高性能化し、「ケータイで静止画も動画も撮る」というスタイルが一般化している。いつでもどこでも持ち運べるケータイで、動画も静止画も撮影できる以上、たとえ使い捨てでもわざわざ別のものを持ち運んで撮影するのは面倒であり、普及は難しいかもしれない。ただ「使い捨てタイプ」に限定すれば、ふいの機会に必要となった場合にすぐに用意できるということで、通常の使い捨てカメラくらいのニーズは生まれることだろう。

むしろ日本では「The Point & Shoot Video Camcorder」の新型のように、「簡単に、それこそクリック一回で動画サイトに録画した動画をアップロードできるソフトウェアを内蔵した、録画機能付きのケータイ」が受け入れられる可能性が高い。今のところそのような機能を持つ携帯電話は無いが、ソフトウェアのバージョンアップをダウンロードで出来る機種であれば、今後対応する可能性は十分にあるだろう。

ちなみにこの「使い捨てビデオカメラ」というコンセプト、実は前世紀から発案だけはされていた。たとえば『企業戦士ヤマザキ』では「10分間の8ミリテープ込みで3500円、再生機能は無く電池1本で稼動」など、今回の「The Point & Shoot Video Camcorder」とほぼ同じコンセプトを持ち合わせていた「テンミニッツ」なるものがテーマに登る話が1993年に掲載されていた。

企業戦士ヤマザキからの引用
「企業戦士ヤマザキ」第一巻より。当時の技術を使った画期的なコンセプトとして「使い捨てビデオカメラ」が考案されていた。今回の「The Point & Shoot Video Camcorder」と販売形態や使用スタイルを含めコンセプト的にはほぼ同じで、当時の発想の斬新さには驚かされるものがある(多少黄ばんでいるのは手元の原本が古いため。ご了承願いたい)

当時はまだインターネットも一般的ではなく、デジカメやデジタルビデオカメラなど民生機としては存在しえていない時代であり、ましてや動画を投稿して不特定多数に見せるという今のような状況などは想定されていなかった。採算性の問題もあり、販売しても普及する可能性は低く、実用化はされなかったようだ(されていたかもしれないが少なくとも当方は目にしたことがない)。

しかし時は流れ、状況は変化し、技術は進歩し、この「使い捨てビデオカメラ」が受け入れられる時代がやってきた。時代の流れと技術の進歩で、アイディアが次々と現実のものとなるひとつの好例でもあり、嬉しさを感じる一瞬でもあるといえよう。

(C)Jun Tomizawa 1993

(最終更新:2013/09/15)

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