ネットの長時間利用が「病み付き」になり、人間関係に悪影響も

2006年10月21日 19:30

インターネットイメージアメリカのスタンフォード大学の医学科は現地時間の10月17日、長時間のインターネットの利用が健康や人間関係に与える影響に関する調査結果を発表した(【発表リリース「Internet addiction: Stanford study seeks to define whether it's a problem」、英語】)。それによると、アメリカ人の8人に1人が、インターネットの多用によって、何らかの悪影響が生じていると自覚しているということが明らかになった。

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これはアメリカの成人2513人を対象に電話による聞き取り調査という形で行われた。それによると、

13.7%(8人のうち1人以上)が「数日間インターネットから隔離されるのは困難だ」
12.4%が「思わず長時間ネット閲覧などオンライン環境にいることがある」
12.3%が「自分の生活の中でネットに関わる時間を減らす必要があると感じている」
8.7%が「現実逃避やモチベーションが下がっている時の解決法にインターネットを利用している」
5.9%が「インターネットを使いすぎのために人間関係に悪影響を与えていると考えている」


という調査結果が得られた。これらの傾向は一言で表現するのなら「インターネットの魅力によって『病み付き』になり、社会生活が困難になる人(インターネット依存症)か増えている」ということになる

調査を担当した精神医学と行動科学が専門のElias Aboujaoude助教授は

「インターネットがいかにシンプルでどんなものを作り出していくのか、その素晴らしさについては常に注目されると共に語りつくされている。しかしながら我々はインターネットに関してある問題が産み出され、一部の人々が悩んでいることを忘れてはならない」
(“We often focus on how wonderful the Internet is how simple and efficient it can make things, But we need to consider the fact that it creates real problems for a subset of people.”)


と語り警告を発している。この「悩み」とはもちろん、あまりにも魅力がありすぎるインターネットが「止められない」がために、通常の社会生活に問題を引き起こしてしまうなどの問題点だ。

Aboujaoude助教授はネットへの過度なアクセスによる過度の依存で不健康になりつつあるとして医師の扉を叩く患者が現在少数ではあるが確実に増加していると述べている。それらの患者の傾向として、メールチェックやブログの投稿やウェブサイトの閲覧、チャットルームでのおしゃべりに取り付かれる傾向が、反復性や我慢できない度合いなどともあわせ、薬への依存のそれと同様である指摘している。

予備調査では、そのようないわば「インターネット依存症」になりやすいのは独身の30代、大学卒業の高い教育を得た白人男性であり、一週間あたり30時間をインターネットの使用で過ごすという。このようなプロフィールを聞くと「アダルト系のものかカジノ系のサイトにのめりこんでいるのだろう」と推測する人もいるだろうが、それらの要素は全体のごく一部に過ぎず、「インターネット依存症」の主要因ではないと説明している。

今回の調査結果についてAboujaoude助教授は、サンプル数が少ないなど、このまま結果を談じるには問題があるとしながらも、「今後の研究課題を提示するのには大切で必要な第一歩には違いない」としている。そしてさらに大規模な調査が必要だと提言している。

日本ではインターネットと共にケータイ(携帯電話)についても、「手元にないと不安になる」「生活で欠かすことができない」と思う人が多いだろう。具体的に調べた最新データは無いが、たとえば昨年11月の【アイシェア社の調査結果】では、具体的な質問はされていないものの、携帯電話への依存度の高さがうかがえる。

今後精神医学や行動心理学の分野でも、インターネットやケータイ依存症候群への調査と研究、対策が必要になるに違いない。


(最終更新:2013/09/15)

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