株式譲渡益の優遇税制措置、政府側は延長しない方針。代わりに新たな優遇措置を創設する方向へ

2006年10月19日 12:30

株式イメージ先に【日本証券業協会、株式譲渡益の優遇措置が予定通りに終了なら個人投資家にマイナスとの調査結果】でも報じたように、2007年末には株式の譲渡益に関する優遇税制が期限切れとなり現状の10%から20%に、株式の配当についても2008年4月から現状の10%の措置が無くなり20%に差し戻しになるが、これについて与党自由民主党税制調査会では延長しない方針を固めたようだ。代わりに新しい優遇措置を創設し、「企業の税引き後利益の中から投資家に還元している配当に税金をかけるのは二重課税」「貯蓄から投資への動きを止めるな」という意見に配慮するようだ。

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元記事によると税制調査会では「期限付きで設けた減税措置は、原則的に期限通り廃止」という意見が大勢を占め、株式相場の低迷を打破するために設けられた優遇措置の役目が終わったことを認識しているもよう。ただし前記事などにもあるように、産業界では配当の二重課税問題が相変わらず解決されていないこと、さらに「長期保有株主を増やすのが経営の安定や国際的競争力の向上にもつながる」「税率が元に戻ったのでは投資から資金が流出してしまう」などの意見が相次いでおり、優遇措置の期限切れのあとは別の軽減措置を導入することを検討する。

ただ政府内ではデイトレーダーと長期保有投資家とを同じように扱うべきではないという意見が強く、新しく設けられる優遇措置では譲渡益と配当、あるいは保有期間による扱いに違いが設けられる可能性もある。

しかし2007年末に現行の優遇措置を終了するとして、別の措置をその直後からスタートするというのは多少無理があるような気がする。証券会社などでその新制度に対応するシステムの開発と組み込み、投資家への周知のタイムスケジュールを考えると、今から新優遇措置を発表したとしても1年強しか時間を採れないことになるからだ。半年をかけて新優遇措置を決定したとしても、その後周知と開発・試験をかねて1年丸まる使うと仮定し、最低でもあと半年はそれぞれの現行優遇措置を延期する必要があると思われる。

また、仮に「税収を増やすために優遇措置を止める」という考えの場合、果たして「税率を元に戻して得られる増収」と、「優遇措置の撤廃で減収する投資家や投資行動によって生じる減収」との兼ね合わせが気になるところ。優遇措置を撤廃してかえって税収減となり、投資も冷え込んでしまったのではお話にならない。広範囲にわたる影響を考慮した上での試算をやらねばならないだろうが、果たして税制調査会ではその試算をしているのかどうか、疑問である。

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