科学技術の結晶から成る、光や汗で暖かくなる「魔法の服」たちで「ウォームビズ」しよう

2006年10月03日 20:10

厚着イメージ先に【汗くささが気になるこの季節にベストマッチな素材、においを吸い取る魔法の糸「デオシーム」とは】で紹介した「匂いを吸い取る魔法の糸」こと「デオシーム」を紹介したが、それとは別の「魔法の糸」が[このページ(nhk.or.jp)は掲載が終了しています]で報じられていたのでここで簡単にまとめて見ることにしよう。

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話のネタは「ウォームビズ(Warm Biz)」。【環境省】が去年から呼びかけているもので、地球温暖化を防ぐ対策のひとつとして「厚着をするなど暖かくなる工夫をして暖房器具による消費電力量を節約しよう」という運動。夏における同様の動き「クールビズ」に続けとばかりに話が持ち上がったものの、去年は今ひとつ盛り上がりに欠けていた。

とはいえ官公庁が先頭に立って旗振りをしている以上、世間一般もこれに習わねばならない。むしろこれを利用し、ビジネスチャンスとばかりに喜び勇んでいる企業も多い。会社単位で暖房の温度を下げ「会社の方針ですから」と説明してもお客にしかめっ面をされるかもしれないが、「国の方針ですから」といわれれば納得しうなづいてしまうのが日本人のさがというもの。

去年はいきなりの運動開始で企業側も準備不足が否めなかったが、二年目となる今年はさすがに時間もあり、各服飾メーカーでも独自の「提案」を戦略として打ち出している。多く見られるのが「ファッション性の高い、薄手ですっきりとしたウォームビズ」というもの。

番組で最初に紹介されたのは、【三越(2779)】日本橋での独自ブランド商品。ウォームビズに対応したオリジナルカシミヤセーター(30種類の色と8種類のデザインから成る)を創り出し、ウォームビズのさまざまなスタイルをファッションショーの形で宣伝し、提案している。そのセンスのよさに「着こなすことは出来ないと思うけど、まねしてみたいとは思う」などお客の反応も上々。公式サイトでも「このように独自ページをつくっている」が、イケメン兄ちゃんがびしっとウォームビズなスタイルで着こなしている。

三越のウォームビズ公式サイト
三越のウォームビズ公式サイト

こういうものを見ると、「案外ウォームビズも良いものなのかもな」と思わせるところがあるから不思議なものだ。さらに単なる洋服だけでなく、ベルトやバッグなど、オプションまでそろえているあたり、お客の購入意欲をくすぐらせてくれる。

サーモキャッチWを使った洋服イメージ薄くても暖かさを保てるよう、新しい技術を取り入れた素材も登場している。今回紹介されたのは、【ツカモトコーポレーション(8025)】の新素材を使った服飾品。これは光に当たると暖かくなるという繊維で、繊維の中心部には特殊なセラミックスが入っていて、これが白熱灯や太陽光に反応し、熱を発するのだという。

この繊維、【三菱レイヨン(3404)】が開発したサーモキャッチWと呼ばれるもので、セラミックスの特殊物質分子が光を受けることで、活発に振動して熱に変わる性質を持っている。さらに導電性を持たせることで静電気の帯電を抑制するので、「ぱちぱち」することもない。詳しい「性能」は参照ページにある通りだが、普通の服と比べると条件にもよるが5度から8度ほどの違いが出るという。三菱レイヨン側では「オフィスで仕事をしながら光に当たるケースも多いから、セーターやベストなどでも薄手のもので十分な暖かさを期待できる」としている。

エクスを利用したベストイメージまた、下着の工夫も欠かせないとして、これまた新技術による画期的なウォームビズ用の下着が紹介されていた。こちらは人の汗やわずかな水蒸気を吸収反応し、発熱するというもの。こちらは【東洋紡(3101)】によるアクリレート系繊維エクス(コンディショニングファイバー)なるもので、単に発熱するだけでなく調温・調湿機能も併せ持つすぐれもの。単にウォームビズ向け服飾品の素材としてだけでなく、介護用用品への展開も期待されている。メーカーの人は「冬場の寒い時でも吸湿して発熱するので暖かくいられるメリットがある」と自信ありげにコメントしていた。なおこの「エクス」、その特質を利用して単に服飾品に使われるだけでなく、カーテンなどの寝具にも用いられている。

環境省では今年度のウォームビズはオフィスだけでなく各家庭でも、という話。暖房に頼りすぎずこのような新技術の服で暖をとるのもひとつの手かもしれない。

『王様の仕立て屋~サルト・フィニート~』イメージ蛇足になるかもしれないが、当方(不破)がお気に入りの書籍のひとつ『王様の仕立て屋~サルト・フィニート~』の最新刊でもウォームビズの話が掲載されていた。こちらはウォームビズへの対処法のひとつとして、単に厚着で対処するのではなく、さまざまな厚着以外の「工夫」をしてみようというものだった。

詳しいストーリーは冊子そのものを読んで欲しいが、引用掲載したカットにある「目的のちぐはぐな商品を漫然と流通させゴミを増やしてしまってはウォームビズも本末転倒です」という言葉が心に残った。心当たりのある商品がないとは誰にもいえないだろう。

もちろん今回紹介した、新素材による画期的な洋服たちにはその心配は無用。技術による工夫とアイディアで、暖房を抑えようという試みがひしひしと伝わってくる。第一、光や汗で反応して暖かくなる服なんて、考えただけでも愉快で不思議で楽しいに決まってる。

これから寒くなる季節、見た目はごく当たり前のものだが、その実技術の最先端が内包されている、それでいて気持ちよく過ごせる服たちにますます注目が集まるだろう。「ウォームビズがどうとか」いうのを別にしても、チェックしてみたいものだ。

(最終更新:2013/09/16)

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