【更新】男性の不妊症にはミトコンドリアの異変が原因!? 筑波大チームが確認

2006年10月03日 12:30

ミトコンドリアイメージ[YOMIURI ONLINE]によると細胞内部にある小器官「ミトコンドリア」の異常が男性の不妊を引き起こすことを、【筑波大大学院生命環境科学研究科】の中田和人・助教授らが突き止めた。マウス実験によるもので、【アメリカ科学アカデミー紀要の電子版(The Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)】に発表された(【発表文の概要、英語】)。

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研究チームでは男性不妊でミトコンドリアの遺伝子情報に変異がある例が報告されていたことに注目。この変異をマウスで再現したところ、変異マウスは十度の男性不妊になることが分かった。具体的には変異を持つミトコンドリアがあるマウスでは精子の数や運動能力が減り、不妊状態を示すことが確認できた。人間でも同様の仕組みがあるとみられ、男性不妊の治療に道を開く研究として注目されている。

上記論文の概要を訳した限りでは「カップルの15%は不妊症で悩み、その半分は男性が起因。精神の運動性の低さや数そのものの少なさが要因と見られている」「その不妊にはミトコンドリア・ゲノム(遺伝子)変異が影響していると思われる」などと記載されている。

ミトコンドリアは細胞の中でエネルギーを作り出す小器官であるが、細胞内器官であるにも関わらず細胞核とは別の遺伝子情報を持つ稀有な例として知られている。このことからミトコンドリアは一般細胞に共生する別細胞の名残り(あるいは現在の姿)であるとする説もある。それほど、ミトコンドリアには不思議な、未解明な点が多い。

この「ミトコンドリア共生説」を元に執筆されたのが、【スクウェア・エニックス(9684)】によるゲーム化でも有名になった瀬名秀明氏の「パラサイト・イヴ」。この作品で「ミトコンドリア」という言葉がずいぶん(?)知られるようになった。今回の男性不妊の原因が究明され、何らかの対処法が生み出されれば、またミトコンドリアの名前が世間を騒がすことになるのだろう。


(最終更新:2013/09/16)

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