【更新】「労働者派遣法」に基づく初の事業停止命令、派遣業大手クリスタルのグループ会社「コラボレート」に発動へ

2006年10月02日 06:30

時節イメージ[YOMIURI ONLINE]によると「偽装請負」と呼ばれる違法な労働形態で労働者を派遣していたとして、大阪労働局は業務請負大手[クリスタル]のグループ会社「コラボレート」に対し、労働者派遣法に基づく事業停止命令を今週中にも出す方向で最終検討に入ったという。偽装請負を理由に事業停止命令が発動された場合、全国でも初めてのケースになる。また事業停止命令は労働者派遣事業そのものの許可取り消しに次ぐ重い処分。

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記事によると関係者の話として、建前は「コラボレート側が従業員を指示・命令」しているはずなのだが、大阪労働局の立ち入り調査の結果、「従業員を実際に指揮しているのは事業者側」で、実際にはコラボレート社から事業者への人材派遣にあたると判断された。これは労働者派遣法違反にあたる。関係者は「警備関係の仕事で偽装請負が行われていた」と証言している。

本来の請負は、業務全体を請負会社に委託し、現場では請負会社が従業員を指示・命令しなくてはならない。あくまでも主は請負会社にあり、コントロールは請負会社が行い、労働場所が派遣を受けた事業者側にあるということだ。これに対し、今回発覚した偽装請負では、派遣を受けた事業者側が現場の従業員を指示・命令しており、事実上人材そのものを派遣を受けた側がコントロールすることになる。このような場合、労務管理や労災発生時の責任の所在があいまいになるため、労働者派遣法で禁じている。

コラボレート社では読売新聞の取材には、「警備業は行っておらず(指摘にあるようなこともしていないので)、お答えできません」とコメントしているという。

コラボレート社は、偽装請負を繰り返し、同労働局から行政指導を受けている。同労働局は「十分な改善が見られず、極めて悪質」として、厳しい行政処分が必要と判断した模様。

クリスタルグループによる偽装請負、行政処分から免れるための多数の子会社による相次ぐ解散と新設、会計のずさんさ、契約不履行などはかねてから指摘されており、メディアにもたびたびその方面に登場する。また、大阪国税局からは申告漏れも指摘されている。

偽装請負は何もクリスタルグループに限ったことではなく、日本全体の雇用体系の問題としてさまざまな問題が存在している。当方(不破)がかつて在籍していた携帯コンテンツ会社にも毎日のように「プログラマを斡旋する」という勧誘の電話やメール、FAXが流れていたが、人材派遣の正式免許を持つ会社はほとんど無かったのを記憶している。「派遣によるマージンが美味しいので楽に儲けられる」という話を聞きつけ、自社の安い賃金で確保したプログラマを第三社に「偽装請負」するパターンばかりで、「そのような行為は事実上の人材派遣ですよね。御社は派遣業に関する各種許可を得ているのですか」と突っ込みを入れるとほぼ100%の割合で返事もできず、あるいは口を濁すばかりだった。

[縦並び社会・格差の現場から:派遣労働の闇(Mainichi INTERACTIVE)]をはじめ多種多様なメディアで何度と無く報じられてきたクリスタルグループの問題は、人材派遣や偽装請負問題など「ニート」をはじめとする雇用に絡む社会問題の一因としても指摘されている問題、試金石でもある。今件がこれらの問題にメスを入れるきっかけとなるのか、注目したいところだ。


■参考記事:
【クリスタル(WikiPedia)】

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