化学レーザー砲搭載タイプのAC-130、試験運用開始

2006年10月14日 12:30

AC-130イメージ【AirForceTimes】が報じたところによると、戦術攻撃機AC-130に化学レーザー砲を搭載した試験機の運用が10月10日からアメリカのニューメキシコ州で開始された。

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AC-130イメージAC-130は汎用性の高いC-130ハーキュリーズ輸送機に各種機銃・機関砲を搭載した対地攻撃機で、「スベクター」という通称の他にその腰を抜かすほどの攻撃力の高さから「ファイアードラゴン」とも呼ばれている。搭載武器は機体の横に横向きに並べられ、種類としては7.62ミリ機銃の他20ミリ・25ミリ機関砲・40ミリカノン砲、さらには105ミリ榴弾砲など各種バリエーションに富み、搭載基数も多数に及ぶ(AC-130A IIの場合、7.62ミリ機銃を4門、20ミリ機関砲を4門搭載する)。歴史も古く、初期バージョンはベトナム戦争から活躍している。

今回の試験飛行は今年の秋の間行われ、レーザーによる攻撃目標への標準システムの適合性などが主にリサーチされる。搭載レーザーは低出力だが、これは高出力で実用的な化学レーザーがいまだに開発中のため。高出力レーザーの地上における発射実験は9月21日に行われ満足のいく結果が得られたと発表されている。

2007年までにはこの、直径50インチ(1.27メートル)の化学レーザーを持つ回転砲塔を搭載したタイプのAC-130が実戦配備されるという。配備先は現在試験を行っている第46試験飛行隊などのようだ。なおこのプロジェクトには約2億ドル(240億円)の予算が投じられているという。

火薬兵器と違い物理的な弾薬を必要としないレーザー兵器は一見補給面などで有利に見えるが、現在の技術では大量の電力と装置そのものに巨大なスペースを必要とする。そのため、実戦兵器としての稼動はまだまだ先だと思われていた。しかし今回の報道によれば、化学レーザーとそれを搭載した攻撃機の実戦配備が2007年には行われることになる。少なくとも公式の範囲ではレーザー兵器の戦術的実用配備は初めて。

もっともレーザーをはじめとする光学兵器は気象の影響を受けやすく、雨や霧など大気の状況次第でその効果を大きく減じる可能性もある。9月に行われたという高出力・実搭載用のレーザーの試験のデータが手元にないので論じることは出来ないが、補給体制の整備とあわせ、実用性がどこまで高いのか、その点でも注目したいところだ。

ちなみに輸送機タイプのC-130Hは日本の航空自衛隊も利用しており、国際貢献の場でも大活躍している。もちろんAC-130タイプは配備されていない。

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