10月12日は「楽天の逆転記念日」!? 楽天(4755)とTBS(9401)間の駆け引き開始から1年が経過、「後ろ盾」となる時価総額は……?

2006年10月14日 20:30

株式イメージ当サイトの開設直後から逐次追い続けているネタのひとつとして、楽天(4755)TBS(9401)の経営統合問題がある。最初に掲載されたのは【楽天(4755)、TBS(9401)の株式15.46%保有を発表】で、その直後の【楽天(4755)、TBS(9401)の株式15.46%保有と共同持株会社化を通じた統合の申し入れを発表】では早くも持株会社化した上での経営統合を楽天側が提案している。それから早くも1年が経過し、情勢はさまざまに変化した。

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ライブドアショックをきっかけにした新興市場の転落と低迷。恐らく今件にもなんらかの形で関わっているであろう村上ファンドの他用件での疑惑発覚と事実上の解散(への動き)。さらには楽天側に次々と襲い掛かる不祥事や疑惑報道。TBS側の楽天との交渉をスルーパスした上での他企業とのマルチメディア展開や提携話。振り返ってみれば「わずか一年でここまで情勢は激変したんかい!?」と突っ込みを入れたくなるような一覧が出来てしまう。

現在両社間の交渉は事実上の「保留」状態。何度と無く折衝は行われているようだが、両社の意見は対立したままで、月末に「では交渉継続をあと一か月間」という引き延ばしが続いている。漏れ伝えられるところによれば、楽天側の「TBS株式を保有したまま提携を結んで影響力を維持したい」という主張とTBS側の「弊社株を売却して資本関係云々という状態をクリアしないと提携話は出来ない」という意見が真っ向から対立したまま時が流れるだけの状態のようだ。

両社の交渉において楽天が強硬な態度に出られる理由はいくつかあるが、そのひとつがTBS株式を相当数保有していること。株式数は基本的に議決権、簡単にいうとその会社の株主総会での発言力に比例するため、TBSにすれば「大きな発言力を持った株主様を軽々しく扱えない」ということになる。そのことを楽天も十分知っている。

一方で楽天にしてみれば、このTBS株式取得のために相当の額の借金をしており、その金利返済だけでもかなりの負担となる。また多額の資金を出費した以上、何も成果を挙げずに手を引いて、TBSの株式を売却してオシマイというわけにもいかない。それにTBSの株価は購入時より低迷している。今手仕舞ったらかなりの損失を確定しなければならない。個人投資家の読者諸君にはよくお分かりだろうが「塩漬け状態」なわけだ。

時価総額=
発行株式総数× 株価
……株価が下がれば時価総額も下がる

さらに楽天には、「時価総額」というバックボーンがあった。この「時価総額」という言葉、こちらもシンプルに説明すると「その時の株価を元にした会社の価値」であり、その会社が発行した株式総数にその時の株価をかけた値となる。かつてライブドアの堀江元社長が「時価総額で日本一を目指す」云々と言っていたのが記憶にある人も多いだろうが、会社の規模・影響力を測る物差しのひとつとしてよく用いられる。

かつて楽天がTBSと交渉を開始した時には、楽天の時価総額は1兆を超え、TBSのそれをはるかに上回っていた。当然鼻息も荒い。強気でTBSに交渉を進めるのも理解できる。

ところが昨今の株価低迷、特にIT系・新興市場系の株価の急落で、その位置関係も逆転した。楽天の株価は年初来最安値を更新しつづけ、ついに楽天の株価が最安値を更新した10月12日に、TBSの時価総額が楽天のそれを上回り、立場は逆転してしまったのである。月単位でグラフ化すると次のようになる。

2005年10月末日を基準値とした楽天とTBSのそれぞれの株価動向
2005年10月末日を基準値とした楽天とTBSのそれぞれの株価動向
2005年10月以降の楽天とTBSの時価総額の変遷(2006年10月分は12日で計測)
2005年10月以降の楽天とTBSの時価総額の変遷(2006年10月分は12日で計測)

たとえるのなら、交渉開始直後、楽天の後ろには2人の屈強なラガーマンが警備としてひかえてにらみを効かせていた。一時はそれが3人にまで増えたが、いつの間にか一人去り二人去り、気が付いたらTBSの後ろ盾にいる警備担当者と同じ一人になってしまった。しかも最後の一人もどことなく弱弱しいように見えてならない。これではTBSが強気に出て楽天の話に聞く耳を持たなくなるのも当然といえよう。

時価総額が上場企業のすべてではない。とはいえ少なからぬ影響力を発揮していることも否定できない。週刊新潮の記事に対し三木谷社長が異例なまでの声明を出して猛烈に抗議をし、その際にわざわざ株価についてことさらに言及したのも、実はこの辺のお家事情が少なからぬ要因としてあったからなのかもしれない。

今後両社の株価、そして時価総額を示す棒グラフがどのように動くか、そして両社間の交渉がどういう動きを示すか。お互いに深い関係があるだけに、当事者らは株価動向に一喜一憂しながら交渉を続けていくことだろう。そして特に楽天側にすればカタがつくまで金利を支払わなければならない以上、何らかの形で、できるだけ早く区切りをつける必要がある。今件はもしすると、この数か月以内に大きな動きがあるかもしれない。それもまた、「株価次第」ということなのだろう。

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