「黒字ドットコム」の今を探る……その1

2006年10月10日 19:30

かつて「ドットコム・バブル」と呼ばれた時代がアメリカにあった。インターネットでもっともメジャーなドメインの「.com」を会社名につけ、いかにも「IT」「インターネット系」「ハイテク」なイメージを出し、実際にインターネットビジネスの世界に躍り出る会社が相次いだ。既存のビジネスをインターネットに置き換え、夢を語り、上場して市場の期待とお金を集め、そしてその多くは集めたお金と共に消えてしまった。俗に言う「インターネットバブル(ドットコムバブル)の崩壊」である。時期的には1990年代から2000年代初頭にかけてが、アメリカにおけるドットコムバブルの隆盛と崩壊の時期だろう。

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20世紀の末期、アメリカの大手ECサイト運営会社で利益をあげているのは【ebay】【ヤフー】だけだったという。記憶にも新しいと思うが今や「ロングテール」の王者として生活に欠かせないまでの存在に成長した『アマゾン』ですら、当時は絶叫するほどの赤字を吐き出し続け、いつ倒れてもおかしくないと何度と無くニュースで報じられていたくらいだった。

今、生き残っているEC・インターネット・ドットコム会社の多くは正しいビジネスとポリシーの元に努力を続け、あるいは幸運に恵まれた会社であるに相違ない。その一方、消えた企業の少なからずは「上場がゴール」で「インターネット」という魔法をかけたハリボテ企業を投資家に格好良く見せて、市場の資金を吸い上げたに過ぎなかった。会社を立ち上げた際に「上場するまで計画すればよいから、収支予想は4年分でかまわない」とした会社もあったそうな。

ちょうど世紀が切り替わるころ、そんなアメリカにおける「EC・ドットコム・IT・インターネットの化けの皮がはがれてきた」ころに発売された一冊の本が、今当方の手元にある。それが今回から何度かに分けて取り上げる『黒字ドットコム―小資金で利益を出した米国中小サイト』だ。

この本のコンセプトは「EC・ドットコム・インターネットビジネスってどうやったら成功するの?」「本当にインターネットは儲かるビジネスを導けるの?」という当時の疑問に答えるべく出版されたもの。実際に成功した事例、そう、タイトル通り「黒字」になった「ドットコム」企業を紹介しつつ、その「成功ノウハウ」を学んでいこうというコンセプトのもと執筆されたものだ(どうやらあるビジネス誌に連載されていたものを加筆修正したようだ)。

なぜ今頃(初版は2000年)そんな本を、と思う人も多いだろう。自分も今から考えてみれば不思議なのだが、今年1月の「ライブドアショック」に始まる日本における新興市場の大低迷時代の要因のひとつが、この「黒字ドットコム」から読めてくるのではないか、そんな直感があったからだ。某漫画風に表現するのなら「自分のゴーストがチェックしろとささやくんだ」というところだろう。莫迦莫迦しいと感じたらこの段落は読み流して結構(笑)。

新興市場銘柄の低迷には、「市場を盛り上げるのが必要だった『大人』が利食いをして大口買いが無くなった」という説もある。「ライブドア関連で新興市場を盛り上げた個人投資家の資金が大量に市場から流出してしまった」「傍若無人に振舞う『大人たち』に振り回された個人の財布が空になった」といった意見もあながち否定はできない。しかしそれよりも何よりも、多くの新興市場銘柄でアメリカの事例として先に挙げたような

・上場がゴールで後は知らないヨ
・財務諸表などいくらでも操作できるネ
・口八丁手八丁でも法律に反してなければいいじゃん
・株主がいくら損失蒙っても所詮個人だから何もできまい
・じゃぶじゃぶ増資して市場からお金を吸い取ろう、うちの業務は株券印刷・発行だよっ


という無謀な行動をする企業が見られたため、買い手が少なくなった、というのが実情だろう。「まただまされたか」で済むのはサイトの閲覧までであって、お金がらみとなれば黙っているわけにはいかない。投資家としては「買わない」という行動で対抗することができる。買い手が少なくなれば相対的に売り手の比率が増え、市場原理から値は下がる。監視体制が強化されている東証一部・値嵩株に資金が集まれば、ますます新興市場は閑散となる。

「黒字ドットコム」にも、ビジネスに失敗し、あるいは投資家の信頼を失って会社を細切れにされたり吸収合併されたり廃業してしまった事例がいくつも紹介されている。それらの姿がどうみても、今の新興市場の様相とかぶってならないのだ。

そして考えた。「黒字ドットコム」には、今低迷している新興市場銘柄の中で「単に他のつられて安くなっているが、全体の雰囲気が一掃されれば本来の力を発揮して持ち直す」、そんな「お宝銘柄」を探し当てる要素のヒントが含まれているのではないだろうか。アメリカで今の日本の新興市場と同じようなことが数年前に起きていた、ならばある程度パターンは踏襲されるのではないか。そんな考えが頭に浮かんだ。

たしかにアメリカのドットコムバブル崩壊当時、日本でもビットバレーのバブル崩壊があった。あるいはそのパターンに現状は似ているともいえる。とはいえ現在の新興市場の低迷さは規模において何倍も違う大規模なもの。むしろ当時としても大きな規模だったアメリカのパターンを見てみた方がよいのかもしれない。ましてや今、手元に「成功事例」の具体的で詳細な解説書が出元にある。活用しない手はないだろう。

以上の理由から、今後何回かにわけで、「黒字ドットコム」に掲載されている「アメリカのインターネットを活用したビジネスを行い利益を出している事例として紹介された黒字な中小企業」の当時の姿(2000年前後)を簡単に紹介。そして、それから5年以上経過した今現在はどうなっているのかをチェックしてみたいと考えている。

当時と今を比較して、新興市場銘柄の中に潜んでいるであろう「お宝銘柄」をピックアップするためのヒントが得られれば幸いである。


(最終更新:2013/09/16)

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