防衛庁、重火力装甲機動戦闘車を新規開発へ

2006年09月02日 07:00

機動戦闘車イメージ防衛庁が8月31日に発表した【平成18年度における政策評価について】において、大規模テロやゲリラ攻撃にも迅速に・大火力を展開できるよう、従来の主力戦車よりも軽重量で、輸送機などで輸送できるようにした新タイプの機動戦闘車両の開発を来年度からはじめることが明らかになった。開発費用は来年度のみで26億円程度。開発終了までに171億円をかけ、2013年までには完成させる予定。

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従来の74式戦車・90式戦車ではその重量(90式で50トン)から空輸が不可能で一般車道でも走行が困難であるため機動力に欠け、今後発生する可能性が高い小規模な突発的地域紛争やゲリラ攻撃などには不向きとする声が高い。また、陸上自衛隊の戦闘車両で空輸が可能な87式偵察警戒車などでは火力に欠けるため、敵性勢力を撃破できず、普通科部隊(歩兵)の支援が出来ない。そこでこの「機動戦闘車」のニーズが生まれることになる。

似たような要望に応える車両としてはイギリスのスコーピオン軽戦車(フォークランド紛争で活躍。前世紀末で退役)、アメリカのストライカー8輪装甲車の機動砲搭載版などが存在するが、リリースによると「いずれも機動戦闘車としての要求性能を満足するものはない。また将来装輪戦闘車両の研究成果との共通化の可能性などを考慮すると、導入は非効率である」とし、2002年に啓上された「将来装輪戦闘車両(8輪装輪戦闘車両)の足回り共通化による効率化」の一環として今回の機動戦闘車の開発が行われることになった。

簡単にまとめなおすと「機動力が高く火力も大きい軽戦車が必要だが海外の類似車両では満足出来ない。幸いにも8輪装輪戦闘車両の足回りを共有化するプロジェクトが進んでいるので、それにのっかっろう」ということになる(むしろ2002年のそれは予算が満足に割り当てられなかった感があり、今回の開発は再スタートの意味合いが強い)。

機動戦闘車運用構想図
機動戦闘車運用構想図

開発をはじめる「機動戦闘車」は、重量を通常の戦車の半分程度、25トン前後までに抑え、既存の陸上自衛隊での装甲車の最高速度時速100キロを目指す。搭載火器の説明はないが、運用実例として「直接照準火力による(敵性の空挺降下装甲車両の)撃破」とあるので、90ミリから105ミリクラスの砲が搭載されると思われる。

運用構想図を見ると、「島嶼部に対する侵略事態対処」や「ゲリラや特殊部隊による攻撃等対処」のように、今後十分想定しうる状況への対処を前提にした構想である事が分かる。島国で入り組んだ道が多く山間部の面積が大きい日本国内の運用を考えると、このような車両の必要性は今後ますます高まるといえるだろう。

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