【更新】ユニコ・コーポレーション(8569)、債務超過発覚で上場廃止の可能性

2006年09月25日 06:30

株式イメージ建設機械リースの【ユニコ・コーポレーション(8569)】は9月22日、2005年12月期単独決算で33億5300万円の債務超過に陥っていたことを発表した([発表リリース、PDF])。これは8月9日までに発覚・発表した不正会計に伴い過去の決算を再調査した結果、多額の追加損失を計上することになったため。現在さらなる会計精査が進められているが、このまま再計算により大規模な改善が見られない場合、上場廃止が決定する可能性が高い。

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ユニコ側ではすでに8月9日の段階で複数年度にわたり不適切な会計処理が行われてきたことを発表し、これにともない【ジャスダック】側でも同日付で同銘柄を監理ポストに割り当てている。

今回、さらに調査を過去5年間にわたり進めたところ、不良債権の処理や貸し倒れ処理の過程で新たに発生した損失は約21億円となった。さらに債権の分類における再検討を行い引当金の追加計上をするなどしたところ、営業費用と特別損失で約63億円の損失が発生することになった。

結果として2005年12月単独期で33億5300万円の債務超過、2004年12月単独期で44億9700万円の債務超過となり、2期連続で債務超過に陥っていたことが判明した。ただし貸し倒れ引当金のうち約46億円については他の債権回収方法を講じることで貸し倒れ引当金の戻しいれ益を発生させ、2006年12月単独期で債務超過を解消すると予想している(会社予想では2006年12月単独期における純資産額は11億円)。

現在も監査法人による監査は続けられており、債務超過額が変わる可能性はあるが、このままでは2期連続の債務超過という決算が確定してしまい、上場廃止基準に抵触することになる。ジャスダック側では今件を受けて監理ポストの割り当て理由を追加([発表リリース、PDF])有価証券報告書の訂正を待ち、現在監理ポストに割り当てているユニコ株式の上場廃止を決定することになる。

会計操作による不正の発覚はよくある話(本来あってはならない話でもあるが)。だが、過去にさかのぼって再検査が行われた結果、連続期における債務超過が発覚した場合、「今からがんばって財務状態を良くします」と努力奮起しても過去の状態をくつがえすことはできず、「上場廃止」「資金調達の手段が失われる」「資金繰りの悪化」というマイナススパイラルに陥る可能性は否定できない。上場の維持そのものが上場企業の目的なのか、それとも企業そのものの存続が目的なのか、どらちが本来の企業の目的なのかを見極める必要があるのだろう。

……とはいえ、会計操作をした当本人らにしてみれば「そんなことはお構いなし。上場維持のためなら何でもしてやる。ばれなきゃOK」というくらいの考えしかないのだろうが。

なお同銘柄は8月9日の監理ポスト割り当て以来株価が急落しており、元々比較的配当利回りが高かったがさらに計算上の利回りが向上しており、9月22日の終値ベースで4.05%となっている。1株利益も67.76円と高く純資産倍率も0.46倍と見た目は優良銘柄に見えるが、これはあくまでも操作前の財務諸表に基づいた計算値であり、いまだ発表されていない「真の財務諸表」に基づいたものではない。精査せずにぱっと見の数字で飛びつくと、痛い目にあう可能性が高いという好例だろう。

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