花王(4452)、果物やワイン中の糖分「エリスリトール」に歯垢分解効果を発見

2006年09月27日 12:30

歯みがきイメージ【花王(4452)】は9月22日、口の中の細菌の繁殖や唾液(だえき)とのかかわりの研究の中で、糖アルコールである「エリスリトール」が虫歯の原因のひとつとしても知られている「歯垢(しこう)」を分解しやすくする作用があることを発見したと発表した(発表リリース)。

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今回の発見は、口の中のねばねばや口臭などの不快感の原因となる口内細菌の繁殖と唾液の関係に関する研究の過程で明らかになったもの。現代人の健康問題のひとつである口の中の不快感は、唾液の量が低下していることが原因とされている。その唾液の成分にどのような役割があるのか、その研究が進められている。

その結果、唾液の中のたんぱく質のひとつ「スタセリン」が、歯の表面に細菌がつかないようにしたり、細菌を分解するなど、唾液の「お掃除屋さん」的役割の主役であることを解明した。

さらにその過程で、糖アルコールの「エリスリトール」に唾液の作用のひとつである「細菌を分散させやすくする作用」があることを発見。この「エリスリトール」が、むし歯や歯肉炎、口臭の原因になる歯垢にも分解させやすく作用があり、その効用は「歯垢分解作用を持つ」として名高い「キシリトール」や「ソルビトール」よりも高いことが分かった。

この「エリスリトール」は果実やキノコ、ワイン・清酒・醤油・味噌などの発酵食品に含まれている天然の糖質であり、「糖質」ではあるがカロリーは無い。また、吸熱作用も大きく冷涼感が高いのも特徴だという。実証実験ではエリスリトールに含んだ歯垢がブラッシングだけではがれるようになったとのことで、頑固な歯垢を採るための健康食品用素材としての期待が持てる。

リリースにもあるように、一般人にしてみれば歯垢は健康な歯とむし歯の中間に位置するようなもので、非常にやっかいなもの。歯と歯や歯肉との間に出来、放っておくと二日ほどでカルシウム分を吸収してさらにやっかいな歯石に代わり、だんだんとそのボリュームがそれこそ鍾乳洞のように増殖する。むし歯や口臭の原因になるし、固まってしまうと自分の手では採れなくなる。

歯医者などでは年一度のクリーニングで歯石をすっきりとることを推奨している。が、基本的にはドリルでせっせと丁寧に削るだけ。歯垢には神経は通っていないものの、やはり「痛い目」にあわざるを得ないのも事実。むし歯よりはマシだが、痛いのもかんべんな、という人も多いだろう。

今回効用が明らかになった「エリスリトール」についてさらに研究が進み、歯垢や口の中の細菌を退治する健康食品(あるいは薬品か)として発売されるようになることを切に望みたい。うまくすると、この「エリスリトール」による薬を用いることで、ブラッシングするだけで歯垢がさくっと採れるような、そして歯石とおさらばできるような、そんな素敵な日がくるかもしれない。

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