王子製紙(3861)、北越製紙(3865)に対する公開買付の条件を変更しないことを正式発表

2006年08月30日 06:00

株式イメージ先に報じているように、製紙業界最大手の【王子製紙(3861)】【北越製紙(3865)】に対し敵対的株式公開買付(TOB)を行っている件で王子製紙は8月29日取締役会を開き、今公開買付に関して条件の変更を行わないことを正式に発表した(【発表リリース、PDF】)。現状で目標としている北越製紙株式過半数の取得はきわめて難しい情勢であることを考慮すると、事実上TOBを断念することになる。

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王子製紙側は8月29日に記者会見を開き、8月2日からはじめた敵対的TOBについて、買付を促進するための期間の延長や買い付け価格の引き上げのような条件の変更を行わないことを発表している。これは仮に条件を変更して過半数以下の北越製紙株式を取得しても将来的に同社を子会社化できるかどうかは不透明な上、本来の目的である経営統合による企業価値や株主価値の向上が果たせないと分析した結果によるもの。

王子製紙は、当初の予定通り9月4日の期限までTOBは続けることにしているが、今回の条件変更否定により、買収そのものを断念するということになる。今件は日本国内では大企業が同一業界内の他社にしかけた敵対的TOBとして注目を集め、他業界へ同様の動きを「伝播」することになったが、結局強い反発を受けて失敗したことになる。

王子製紙の篠田和久社長はニュース報道などによると記者会見の中で「目標としていた過半数の株式の取得は極めて困難。TOBは限りなく不成立の方向となったと理解してもらっても構わない」と述べ、現在はまだTOBの最中であるが事実上、買収を断念したことを明確にコメントしている。さらにその上で「自社内の設備の統廃合を進め、中国で建設を予定している工場の建設を強力に進めていく」と述べた。

今後関連各企業のウルトラCなり劇的な情勢の変化でもあれば王子製紙の「逆転さよなら満塁ランニングホームラン」的な成功劇もありうるだろうが、その可能性は限りなく低いと思ってよいだろう。今回のTOBの決着がどのような影響を製紙業界にもたらすのかは、数年単位の長い目で見ていく必要があるかもしれない。


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